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グッジョブ“甲子園DJ”! 「ランナー二塁、三塁ではこの曲を…」完璧な“録音応援曲”の切り替えがセンバツを盛り上げた
 

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梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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posted2021/04/03 17:02

グッジョブ“甲子園DJ”! 「ランナー二塁、三塁ではこの曲を…」完璧な“録音応援曲”の切り替えがセンバツを盛り上げた<Number Web> photograph by Yukiko Umetsu

『アグレッシブ・ベースボール』のロゴ入りユニホームを着てアルプス席で応援する、東海大相模高校吹奏楽部(2019年夏)

“甲子園DJ”とは何者か?

 勝手に“甲子園DJ”と呼ばせていただいているが、今回録音音源の操作を担当したのはいつも甲子園球場でプロ野球の音響を担当しているスタッフだ。「プロ野球のオペレーション+高野連がとりまとめた各校からのリクエスト」の2本立てで対応した。印象に残っている試合を尋ねると、こう答えた。

「印象に残っているのは、第1日目第1試合先攻の北海高校さんです。一番初めに運用する学校でしたので、上手くオペレートできるか内心ハラハラしました。智辯学園さんは、準備期間の短い中、曲の使用に関してもよく考えておられて驚きました。“魔曲”として有名な「ジョックロック」など、事前に注目されていることもわかっていましたので、スタッフ同士で『緊張する』と話していました」(音響担当スタッフ)

 タイムの時は、音源がそのまま流れている時と、ストップする場合があったが、担当者によって対応が異なったのだろうか。

「担当者によってというよりも、アルプス応援団の雰囲気や感情に寄り添うことを心掛けて、前日や前試合の反省点を踏まえ1日1日ブラッシュアップできるように、音源や状況により変えておりました」(音響担当スタッフ)

 連日テレビ観戦していた筆者も、音量を40にしてフルボリュームで応援を聴いていたが、ヒットや得点時のファンファーレや、チャンステーマを流す瞬間など、試合を重ねるごとにさらにタイミングがぴったり合っていき、試合をつぶさに見ながら相当な集中力で操作しているのだろうなと即座に感じた。

大阪桐蔭は流行曲を、市立和歌山は今年もオリジナル曲を

 録音音源のおかげで、いつも通りの、明るく楽しい雰囲気となった今センバツ。ほかにも、印象に残った学校はたくさんあった。流行に敏感な大阪桐蔭は、テレビアニメ『鬼滅の刃』オープニングテーマの『紅蓮華』(LiSA)や、『夜に駆ける』(YOASOBI)、『Make you happy』(NiziU)をいち早く導入。今大会注目度ナンバーワン投手・小園健太擁する市立和歌山は、35年以上前からオールオリジナル曲にこだわり、『レッツゴーICHIKO』など、スピード感あふれる応援曲を次々と繰り出し、独自のカラーを見せつけた。

【次ページ】 リアルに友情応援に駆けつけた市立尼崎

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