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「俺は野球学校の出身じゃないから」母校は偏差値70の進学校「国立大を出て公立校の教師に」のはずが…甲子園30勝の名伯楽に? ある異色監督の履歴書
posted2025/03/25 06:01

センバツの初戦に勝利し甲子園通算30勝を達成した福島・聖光学院の斎藤智也監督。一方でその経歴は、高校野球指導者としては異色のものだった
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田口元義Genki Taguchi
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Genki Taguchi
開催中のセンバツで甲子園通算30勝を達成。福島の強豪・聖光学院の斎藤智也監督が、過去17人しか成し遂げていない節目の数字に到達した。実はそのキャリアを振り返ってみると、いわゆる「高校野球指導者」の中では異例の経歴だ。異色の名伯楽は、いかにして誕生したのか。《NumberWebインタビュー全2回の1回目/つづきを読む》
激闘後であっても表情は変わらない。
常葉大菊川を相手に、延長10回から始まるタイブレークを12回まで戦った。サヨナラで勝利へと導いた聖光学院の斎藤智也は、そこが立ち慣れた場所であるかのように甲子園の監督インタビューに臨む。
試合に関する質疑応答が一段落する。「そろそろ」といったような間が生まれ、お約束の質問が報道陣から投げかけられる。
甲子園通算30勝…斎藤監督の反応は?
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――監督通算30勝を達成した。これは、東北と仙台育英を率いた竹田利秋さんと並び、東北地区の監督では最多となる。
「ああ、はい」
斎藤のにべもないリアクションは、おそらくは素だった。それは、このあとに結んだ言葉が物語っていた。
「まあ、マスコミのみなさんに結構、言われてきましたんで、励みにしていた部分はありましたけどね。生徒らと甲子園に来られて、苦しい試合を乗り越えて一緒に校歌を歌えたことが、30勝よりも大きいです」