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「長谷部誠コーチの日本代表での仕事って?」本気でW杯優勝をめざすための体制はできているか…「今はチームみんながお互いに認め合っている」

posted2025/03/30 17:01

 
「長谷部誠コーチの日本代表での仕事って?」本気でW杯優勝をめざすための体制はできているか…「今はチームみんながお互いに認め合っている」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

現役時代、代表キャプテンといえばこの人だった長谷部誠コーチの加入が日本代表にもたらした変化とは?

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佐藤景

佐藤景Kei Sato

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Kiichi Matsumoto

史上最速でワールドカップ出場を決めた日本代表。要因はさまざまあるが、意外に見逃されがちなのがチームの指導体制だ。名波浩、前田遼一、そして長谷部誠といったレジェンドが加わったコーチ陣は、チームに何をもたらしたのか。証言からその内幕をレポートする。〈全2回の2回目/はじめから読む〉

 第2次森保体制は2023年3月のスタート以来、順風満帆で進んでいた。2戦目でコロンビアに1−2で敗れた以降は、破竹の10連勝。その中には敵地でドイツを4−1と粉砕した歴史的なゲームも含まれる。

 しかし、2024年1月のAFCアジアカップで厳しい現実を突きつけられた。優勝候補筆頭と目されながらグループステージでイラクに1−2で敗れ、準々決勝でイランにも1−2で屈して敗退。冨安健洋は「熱さが足りなかった」と振り返り、守田英正はチームとして「どうすればよかったのかわからない。もっと指示がほしい」と率直な思いを口にした。

露呈した問題点

 チームの歩みを振り返る時、このアジアカップの敗戦が大きな転機になったと言える。同大会で露呈した問題点を一つ一つ克服していくことでチームは前進していったからだ。

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 ピッチ内で言えば、まずロングボールへの対応が挙げられる。イラン戦でサイドバック、毎熊晟矢が狙われ、失点につながった。それ以降、とくにアジア勢との対戦において高さがチーム編成に欠かせないポイントになった。

 セカンドボールの回収についても意識が大きく変わった。遠藤航や守田がたびたび指摘している通り、チーム全体としてアプローチが格段に向上している。ボールがこぼれる場所の予測と回収スピードはアジアカップ以前と以後で明らかに違う。

長友佑都がもたらした「一体感」

 他にも守備的な相手を攻め崩すために両ウイングバックにアタッカーを配する攻撃的な3−4−2−1システムの採用など、必要に応じて変化を加えていったが、最も大きいのがアジアカップ時に感じられなかった『一体感』の獲得に成功したことだろう。

 長友佑都の代表復帰はアジアカップ後、最初の活動となる2024年3月のことだった。

「もちろん僕自身も1年以上、(カタール・)ワールドカップ以降離れていたんで、若い選手たちがどういう気持ちで、どういう雰囲気なのかはわからないですけど、ただ15年間代表にいた身として、日の丸を背負う重みは、誰よりも知っているんじゃないかなと。みんなが海外のすごいクラブだったり、そういうところでプレーしているから自信とかいろんなものがあるんだろうけど、代表はまた別物なので。代表の思いとか、重圧を背負うことの大切さみたいなね、それは自分の姿勢で示していけたらと思います。

(チームの)空気が悪ければ、僕が空気清浄機のように空気を入れ替えていくんで。一家に1台必要でしょうと。だから空気が悪かったり、ちょっと違和感を感じれば、僕が吸い取ってきれいな空気に変えていきたい」

 代表復帰が発表された日の長友の言葉だ。出場機会こそないものの、以来、代表に選ばれ続けている事実がその存在の重要性を示している。練習で誰よりも声を出し、有言実行で『空気を入れ替えた』。遠藤航や久保建英ら主力はもちろんだが、とりわけベンチ外となって悔しい思いをしているメンバーは長友の存在に救われたと一様に口にしている。

【次ページ】 元キャプテン・長谷部コーチの役割とは

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