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「批判というより、戦術面の弱点だ」トルシエが日本代表生観戦で不安を抱いた停滞「クボとナカムラ頼りでCKも…プラスアルファが必要だ」
posted2025/03/31 17:00

サウジアラビアの守備網に監視される久保建英。元日本代表監督トルシエの目にこの一戦はどう映ったか
text by

田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Kiichi Matsumoto
3月初旬から日本滞在を続けるフィリップ・トルシエは、名古屋に設けられたパブリックビューイングで観戦したW杯アジア3次予選、日本対バーレーン戦に続き、日本対サウジアラビア戦は埼玉スタジアムに赴き、日本代表の戦いを現地で直接見守った。
抜群の安定感と圧倒的なパフォーマンスで、世界最速でW杯本大会出場を決めた森保ジャパン。だが、予選突破決定直後のサウジアラビア戦は、圧倒的にボールを支配しながら攻撃は停滞し、無得点の引き分けに終わった。
日本よりも、本大会に直接進めるグループ2位争いをオーストラリアと繰り広げるサウジアラビアの方が、懸けるものが大きかった試合。埼玉スタジアムを埋め尽くした観衆にも、テレビの前の視聴者にもカタルシスとはならなかった一戦を、トルシエはどう見たのか――試合翌朝に話を聞いた。
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そのインタビューを、前後2回にわたってお伝えする。まずはその前編から。
引いたサウジDF陣を崩す意図をあまり感じられず…
――昨夜はよく眠れましたか?
「ああ、熟睡できたしゆっくり休めた」
――それはよかったです。
「昨日はいろいろな人に会った。ダイニ(大仁邦彌・日本サッカー協会元会長)やコーゾー(田嶋幸三・日本サッカー協会名誉会長)、オカダサン(岡田武史・日本サッカー協会副会長)……」
――協会の古参幹部たちですね(笑)。
「他にも宮本(恒靖)や播戸(竜二)にも……」
――それはよかった。それで昨日の試合をどう見ましたか。
「日本はすでに予選突破を決めている。だからボールをコントロールしようとする戦略で試合に臨んだ。ただ相手のディフェンスを崩そうとする意図があまり感じられず、ボールを回して相手を走らせようとする意志もなかった。
ただそれは、サウジアラビアが意図したプレーでもあった。彼らは引き分けを得るために日本にやって来た。日本のボールをコントロールする戦略のおかげで、サウジは後方に退いて落ち着いて守ることができた。彼らが仕掛けたのは2~3人によるカウンターアタックだけで、コレクティブに攻撃する意志は見せなかった。素早いトランジションによるカウンターアタックだけが彼らの攻撃だった」
トルシエが“戦術的な弱点”と指摘した一面とは
――あれほど徹底して守備を固めて来るとは思いませんでした。