プロ野球亭日乗BACK NUMBER
巨人の“懸案事項”正捕手は「打撃の大城卓三」に…それでも小林誠司を“抑え”で起用する原監督の逆算戦略とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph bySankei Shimbun
posted2021/04/02 14:55
今季開幕戦のDeNA戦で大城卓三はチーム1号となる勝ち越し3点本塁打を放った
ゲームの終盤を任せる“抑え捕手”という役割
そこは能力というよりは、どこまで経験を積んで、その経験を生かせるか。生かす能力があるかということになる。
結局は巨人の正捕手争いも、そこが大城のテーマであることは以前のこのコラムでも書いてきた。逆に言えばそこに小林が正捕手を狙える可能性があった訳である。
しかしこれだけ大城が打ちまくれば、答えはあっさり出た。
ADVERTISEMENT
正捕手争いの決着は、ここで1つの結論を見たのだが、そこから原監督が小林に用意していたもう一つのポジションがあったのである。
ゲームの終盤を任せる“抑え捕手”という役割だった。
これまでは投手による使い分けがベースとなっていた
開幕から2カード6試合を終えた時点で、大城がフル出場した試合は1試合もない。代わりに最後に小林がマスクを被った試合は5試合。炭谷銀仁朗捕手が閉めた試合も1試合あったが、この試合は唯一、黒星がついた3月31日の中日戦だった。
要は勝ち試合と引き分けの接戦試合で、巨人ベンチは全て最後の逃げ切りは小林に託しているということだ。
これまで基本的に巨人の捕手の併用は、投手による使い分けがベースとなっていた。
昨年は小林がケガで戦線を離れる時期が長かったが、エースの菅野智之投手やC.C.メルセデス投手らが投げるときは大城、戸郷翔征投手とは炭谷が基本セットでエンジェル・サンチェス投手が先発の試合でも炭谷や小林がマスクを被ることがほとんどだった。若手や特定の選手の専属捕手的な役割分担で、炭谷を加えた3捕手(終盤には岸田行倫捕手を加えた4捕手)を併用してきた訳だ。
しかし今年は投手による併用ではなく、場面による併用に切り替わっている。