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最新版「春の甲子園・勝利数番付」 前頭・大阪桐蔭、小結・東海大相模、では東西横綱は? 名門の公立は徐々に… 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKou Hiroo/Hideki Sugiyama

posted2021/04/04 17:02

最新版「春の甲子園・勝利数番付」 前頭・大阪桐蔭、小結・東海大相模、では東西横綱は? 名門の公立は徐々に…<Number Web> photograph by Kou Hiroo/Hideki Sugiyama

2017年センバツで優勝した根尾昂。彼の出身校である大阪桐蔭は西前頭5枚目だ

寒冷地や豪雪地帯が抱える冬のハンデ

 春の甲子園は3月後半に行われる。そのため北日本、東日本の寒冷地や豪雪地帯では、3月まで対外試合が全くできない地区も多く、西日本とは環境面で大きなハンデがあるのだ。

 東の横綱、大関、関脇も見てみると分かるが……西側の県の高校が多く、どうしても東北勢は少なくなってしまう。季節的なハンデはどうしようもないところだ。

 平成以降では最強と言われる大阪桐蔭は現時点で西前頭5枚目である。1991年春が甲子園初出場だが、その年夏に初優勝を果たしている。

 春の甲子園でも実績を作っている。2012年に現阪神の藤浪晋太郎、現西武の森友哉のバッテリーで初優勝を飾った。余勢をかってこの年夏も優勝し、春夏連覇を達成している。そして2017年にも根尾昂や藤原恭大を擁して春優勝、翌2018年には2度目の春夏連覇を果たしている。

 2021年はそれ以来の出場ということもあって、勝ち星をどこまで増やすか期待されたが、何と初戦で智辯学園に敗戦し、勝ち星を伸ばすことはできなかった。

 なおこれに続くのは西前頭6枚目の高知・明徳義塾も選抜されたが今大会はともに初戦で敗退した。

 一方で奈良の智辯学園は、大会前は西十両10枚目だったが、今大会でベスト8まで進んで2勝を積み上げ、番付を十両6枚目まで上げている。

 そして現在、大阪府で大阪桐蔭と並んで「2強」とされる履正社は西幕下3枚目。大阪桐蔭に阻まれてなかなか甲子園に出られないが、2017年の春の甲子園では、決勝で大阪桐蔭と当たっている。同じ都道府県同士の決勝戦は史上5回目だが、大阪桐蔭が履正社を下している。

公立校はじりじりと順位を落としている

 寒冷地が圧倒的に不利な春の甲子園だが、北海道の北海は通算12勝で、東十両7枚目につけている。北海道で2けたの勝ち星を挙げているのは北海だけ。この学校も1920年夏の甲子園が初出場という名門だが、1963年には北海道勢としては春夏通じて初めて決勝まで進出。好投手・池永正明(のち西鉄)を擁する山口の下関商に0-10で敗退したが、その健闘は大いに称えられた。今大会も出場したが、開会式直後の試合で敗退した。

 春夏通じてのことではあるが、かつて一時代を築いた名門公立高校がじりじりと番付を落としていることが分かってくる。

 三役は東関脇の県岐阜商だけ。幕尻近くに箕島(和歌山)、高知商(高知)、桐生(群馬)、銚子商(千葉)、池田(徳島)、松山商(愛媛)とよく知られた名前があるが、長らく甲子園に出場していない学校も多く、近い将来、陥落する学校も出てくるとばれば、時代の移ろいを感じざるを得ない。

 この春の番付は予想以上に大きく動いた印象だ。新興校と伝統校のせめぎ合い、今後も見ていきたい。

(外部サイトでご覧の方は関連記事より番付表をご覧になれます)

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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