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最新版「春の甲子園・勝利数番付」 前頭・大阪桐蔭、小結・東海大相模、では東西横綱は? 名門の公立は徐々に… 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byKou Hiroo/Hideki Sugiyama

posted2021/04/04 17:02

最新版「春の甲子園・勝利数番付」 前頭・大阪桐蔭、小結・東海大相模、では東西横綱は? 名門の公立は徐々に…<Number Web> photograph by Kou Hiroo/Hideki Sugiyama

2017年センバツで優勝した根尾昂。彼の出身校である大阪桐蔭は西前頭5枚目だ

今大会の結果で“東の横綱”に変化が!

 第93回大会の前まで、東の横綱は愛知県の東邦だった。東邦高校は春夏合わせて甲子園に47回出場、歴代6位の75勝を挙げた強豪ではあるが、愛知県には春夏甲子園通算勝利数歴代1位の中京大中京がある。東邦は、夏は地方大会で何度も中京大中京に敗れて涙を呑んでいる。

 しかし春の大会は前述した通り、予選がない。総合的な評価によって、同一県から複数の高校が出場することもある。そうしたこともあって、東邦は夏は19勝ながら春は56勝、優勝5回、直近の2019年春の甲子園では決勝で千葉の習志野を6-0で下して優勝を果たしている。これによって中京大中京を抜いて「春の甲子園最多勝」になった。ただしその差はわずか1勝だった。

 しかし今大会、東邦は選抜されず、中京大中京が選抜された。その中京大中京が準決勝まで進み3勝を積み上げたので、地位が逆転し再び横綱になった。東邦から見れば、わずか2年で横綱の地位を宿命のライバルに明け渡すこととなったわけだが――この戦いは今後も長く続くことになるだろう。

西の横綱は相変わらずPL学園なのだが

 3位は西の横綱・PL学園。甲子園初出場は1962年春だから、新興校と言えるが、そこから優勝3回、1987年には春夏連覇を果たしている。しかし野球ファンならご存じの通り、2009年夏を最後に甲子園には縁がなくなり、2016年に休部となっている。部活が再開されない限りこの数字は増えることはない。

 3位タイは東関脇の県岐阜商。1932年春が甲子園初出場。ここから10年連続春の甲子園に出場。戦前屈指の名門校だったが戦後も強豪の地位を守り、最近では2015年春の甲子園に出場し、準々決勝まで進んでいる。公立高校では最多勝。今大会も出場したが、好投手・小園健太を擁する市立和歌山に0-1で惜敗している。

 東海大相模は今大会の優勝で5勝を加えて28勝。東前頭筆頭から小結へと“三役入り”を果たした。代わって日大三高が平幕に落ちるかたちとなった。

 三役付近までを見ると東の方がやや優勢に見えるが、それ以降のランキングでは圧倒的に西が有利だ。

【次ページ】 寒冷地や豪雪地帯が抱える冬のハンデ

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