Jをめぐる冒険BACK NUMBER
東京五輪世代の問題点を整理する。
出ない声、固まらぬ編成、濃い疲労。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKyodo News
posted2020/01/13 20:00
先制を許し、追いつきながらも攻撃が停滞し、試合終盤に決勝点を被弾。サウジアラビア戦と同パターンで負けているようでは……。
好ゲーム後、メンバーが変わり……。
これまでも'18年8月のアジア大会や'19年6月のトゥーロン国際大会、'19年10月のブラジル遠征など、好パフォーマンスを演じたゲームはいくつもあるが、メンバーが変わった途端、積み上げたものが崩れてしまうことがあった。
その最たる例が、堂安、久保を迎え入れた11月のコロンビア戦だった。
そこで12月のジャマイカ戦の際にはキャプテンの中山を中心に選手ミーティングを繰り返し、意見交換を徹底的に行なった。その結果、多彩な攻撃でジャマイカを攻略し、9-0の大勝。このチームに2度目の合流だった安部は「すごく一体感が生まれて、心が満たされた。またこのメンバーで集まりたい」とまで言っていた。
だが、今大会ではジャマイカ戦からメンバーが大きく変更された。
森保監督は「個々が責任を持って、自分がリーダーだという気持ちで言動してほしい」と語っていたが、闘う集団の雰囲気をまとうことがなかった。東京五輪メンバーへの生き残りが懸かっているというのに……。
選手たちのモチベーションを刺激できなかったのは、森保監督の責任だ。
E-1参加の森島、相馬らの疲労。
一方、コンディションの問題に触れておく必要もある。
今大会だけをターゲットにしていれば(各国のように日本にとっても最終予選だったなら)、リーグ戦終了後、選手たちを2週間ほど休ませ、その後に集合して2週間ほどキャンプを張って準備し、大会期間中にもコンディションを上げていくようなスケジューリングにしたはずだ。過去の3大会がそうだった。
だが、ターゲットはあくまでも東京五輪。本番に向けて少しでも経験を積み、力を付けるため、12月半ばに開催されたA代表のE-1選手権にも東京五輪世代を14人も呼んだ。12月末にはジャマイカとも戦い、そのうえで今大会に臨んだ。
3つを掛け持ちした選手はいないが、多くの選手がE-1選手権、ジャマイカ戦、そしてアジア選手権のうち2つに出場しており、E-1選手権に参戦した森島や相馬らは明らかに疲労の色が濃かった。この時期の大会に参加することの難しさもあったのだ。