福西崇史の「考えるサッカー」BACK NUMBER
福西崇史が五輪世代シリア戦に望む、
「ネガティブな空気を変える存在」
posted2020/01/12 11:50
text by
福西崇史Takashi Fukunishi
photograph by
JFA/AFLO
<東京五輪世代の若き日本代表は9日のU-23アジア選手権グループステージ初戦、サウジアラビア戦を1-2で落として黒星スタートとなった。終盤のミスから決勝点を献上したこの一戦、福西崇史氏は試合を通じて「若さ」が出たと分析する。>
試合全体を作っていく部分に関しては、柔らかいグラウンド、序盤から前線のスピードを活かそうとしてきたサウジアラビアに対して、徐々に対応したと感じました。
ただチーム全体を見ていると、試合終盤は攻撃にリスクをかけ過ぎない印象があった。前線に飛び出して崩していく動きがあまり見えてこなかったですよね。
グループステージ初戦ということもあってか「1-1でもOK、その中で決勝点が取れればいいよね」という戦い方を選んだ。それ自体は悪くはない選択だとは思いますが、そこで致命的なミスが起こってしまった。その怖さを痛いほど気づかされた試合だったのではないでしょうか。
相手が嫌がる状況を作るしたたかさ。
高温多湿の中での試合だったことで、後半途中から明らかにサウジアラビアの足は止まりました。その時間帯で、日本はもっとボールを回して、守備の穴を作り出してもよかった。
運動量が落ちたサウジアラビアは「最後の局面でやられないようにしよう」と中央の守備を固めて、7番のガリーブと10番のアルクライフのカウンターに託す戦術を取りました。
それならば徹底的に外から崩して、相手守備陣の嫌がる状況をもっと作り出す。相手の体と頭の体力を奪って仕留めるしたたかさがあれば……と思いましたが、その辺りはゲームを運ぶ上の「若さ」が出てしまったと。
多少強引にいってもいい時間帯で、スマートに崩そうとしすぎた、とも言えます。