Jをめぐる冒険BACK NUMBER
東京五輪世代の問題点を整理する。
出ない声、固まらぬ編成、濃い疲労。
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byKyodo News
posted2020/01/13 20:00
先制を許し、追いつきながらも攻撃が停滞し、試合終盤に決勝点を被弾。サウジアラビア戦と同パターンで負けているようでは……。
危機感を世代全体で共有できるのか?
本番までの道のりで打ちのめされるのは、決して悪いことではない。
例えば日本代表は、これまでのワールドカップで、直前まで窮地に追い込まれていたほうが好成績を残してきた。危機感が強まり、批判に対する反骨心によってチームの一体感が増すからだ。
だが今回、グループステージ敗退によって生まれた危機感を世代全体で共有できるかどうかは疑わしい。おそらく本番は、メンバーが大きく変わるからだ。今大会に参加していなくても、この危機感を自分のこととして受け止められるかどうか。それもメダル獲得へのポイントのひとつだろう。
ラージグループには明らかに……。
日本人は監督の指示に縛られ、それだけにとらわれてしまう傾向が強い。こうした国民性は、加茂ジャパンの「ゾーンプレス」、トルシエジャパンの「フラット3」、岡田ジャパンの「接近・展開・連続」、ハリルジャパンの「縦に速い攻撃」の習得過程で見られたものだ。
一方、森保監督はサンフレッチェ広島時代のシステマチックな戦術を最初からがっちりハメるのではなく、選手の自主性、判断力、臨機応変さ、対応力を可能な限り伸ばし、ベストメンバーが揃う本番直前にチームを仕上げる手法を採ってきた。
それ自体は興味深い試みだと思っているが、ラージグループの中には明らかに意識の低い選手、レベルの落ちる選手もいる。
本来持つ“厳しい一面”を出して、そろそろメンバーをふるいにかけるべきだろう。3月の活動はインターナショナルマッチウイークにあるのだから、ベストメンバーを揃え、仕上げに向かってもらいたい。