フランス・フットボール通信BACK NUMBER
CLの影響力が強くなることに反対!?
リーガ会長の抜群のリーグ運営感覚。
text by
フレデリック・エルメルFrederic Hermel
photograph byJerome Prevost/L'Equipe
posted2019/10/02 08:00
UEFAが進める欧州サッカーの改革に反対しているリーガ・エスパニョーラ会長ハビエル・テバス。
「OTT」とこの先どうやって付き合うか?
――中期的にはどんな展望を抱いていますか?
「アマゾンやフェイスブック、ツイッター……“OTT(オーバーザトップ=インターネットによる動画視聴システム)”をどう制御していくか。
例えばOTTのひとつであるネットフリックスは、オーディオビジュアルで世界的な影響力を持つことがわかった。それではそのOTTは、スポーツ全般に関して、そしてとりわけサッカーにどんな影響を与えるのか? 放映権の価値を上げるのか下げるのか? 注意を払わなければ、価値はどんどん低下していくだろう」
――ならば今季のリーガは、どんな面白さを提供しうるのでしょうか?
「リーガは最も競争が激しいリーグだ。ビッグリーグの中で、リーガのチャンピオンの勝ち点が最も少なかった(バルセロナの87点)。他はどこも90点以上獲得している(バイエルンは78点で優勝したが、試合数は34と他より少ない)。つまりリーガの中でポジションを確保するには、どこよりも勝ち点が必要ということだ」
――しかし外から見たときに、とりわけフランスのサッカー関係者から見ると、リーガはビッグクラブと小クラブの隔たりが大きいという印象があります。
「それは長きにわたりリーガにおける(レアルとバルサの)二極支配が語られ、その議論の枠組みからなかなか抜け出せないからだ。
フランスのリーグに関して言えば、あなた方の問題は(パリSGの)一極支配だ。たったひとつのクラブがリーグを支配しているのはドイツやイタリアも同じだ。イングランドを見れば、ふたつのクラブが98点と97点を獲得したのに対し、一昨季のシティは全114ポイントのうち100ポイントを獲得して優勝した。そうしたことを考慮すれば、リーガに対する分析が間違っているのがよくわかる」
不正への取り組みは欧州屈指。
――ならば最も問題だと感じている点はなんでしょうか?
「不法な賭けとそれに伴う選手の買収行為(最終節のバジャドリー対バレンシア戦における疑惑と、複数の関係者の逮捕)は、多少問題ではある。ごく稀な事件であるのは間違いないが、スペインではとても深刻な問題として取り上げられる。というのもわれわれは全力をあげてそうした不正を白日の下に晒し、適切な処罰を下すことを心がけているからだ。その点でヨーロッパの他の国よりずっと真剣だといえる」
――あなたはそのために、リーガに“インテグリティー(誠実さ)セクション”(ここでは経営陣の社会的道義性をチェックする部門として語られている)を設立しましたが……。
「その通りで、警察OBを何人も採用したし、これはヨーロッパで唯一スペインだけがそうしていることだ。また、元警察庁長官をチーフとして迎え入れてもいる。
最新のテクノロジーを導入して、彼らは不正が行われる危険性の高い試合を観察している。また彼らは、サッカー賭博の掛け率の変動にも、不審な動きがないか注意を払っている」