フランス・フットボール通信BACK NUMBER
CLの影響力が強くなることに反対!?
リーガ会長の抜群のリーグ運営感覚。
text by
フレデリック・エルメルFrederic Hermel
photograph byJerome Prevost/L'Equipe
posted2019/10/02 08:00
UEFAが進める欧州サッカーの改革に反対しているリーガ・エスパニョーラ会長ハビエル・テバス。
リーガのクラブの経営状態はそれほど悪くない。
――スペインのもうひとつの大きな問題は、クラブが抱える多額の超過債務ですが、現状はどうなっているのでしょうか?
「今日、スペインのクラブが抱える負債額は、フランスのクラブよりもずっと少ないと私は言いたい。数字を見れば、それが客観的にわかる。レアルとバルサのビッグ2を別にしても、リーガのクラブはこの4年間の平均で毎年2億ユーロを得ている。
負債率――すなわち総収入に対する総負債額の比率は、スペインはブンデスリーガに次いで低い。それは運営のコントロールがうまくいっているからで、すべてのクラブが負債を増やさないと同時に、収入を減らさないように運営している。それができないクラブ、われわれの目を欺こうとするクラブは、レウス(2部)のように大会出場権を剥奪される。今日のリーガは、経済面・財政面でとてもうまくいっている。」
――テレビ放映権の均等分配はリーガに利益をもたらしましたか?
「かつてリーガの放映権は8億ユーロだったが今では23億ユーロだ。誰もが等しく恩恵を受けているし、それによってリーグ自体も魅力を増し、結果として投資もしやすくなっている」
バルサとレアルの独自の放映権交渉は?
――バルサとレアルは独自にテレビ放映権の交渉をおこなっていますが、彼らも均等配分のメリットを理解しているのでしょうか?
「その点ではバルサの方がレアルよりも理解がある。
ビッグクラブはいつの時代にも不満は感じているし、自分たちがいるからリーグが成り立っているという思いが強い。だが、彼らも状況に適応しはじめている。たしかにレアルとバルサはサッカー産業の要となるクラブだが、リーガを構成しているのは彼らだけではない」
――あなたはスタジアム内の差別行為に対して徹底抗戦しています。そのために『人間的尊厳の確立』というコンセプトを打ち立てましたが、少し説明してください。
「あらゆる種類の差別を排除して、人としての尊厳を確立する。そのためにスタジアムに人員を配備してレポートを作成している。ひとつひとつの事例をつぶさに検討して、クラブに対して罰金を科したり、無観客試合のペナルティーを科すようにしている。
4年前にこの制度を導入してから、クラブの協力もあり状況はずいぶんと改善された。『メッシの●●野郎!』とか、『ポルトガルの●●の息子!』といったクリスティアーノへの野次はなくなったからね。今では誰かがそんなことを叫ぼうものなら周囲のサポーターが黙っていない。たちまち非難の喚声が沸き起こる」