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脅迫、暴行、報復上等の半グレ集団。
ウルトラスの実態を潜入記者が語る。

posted2019/10/02 19:00

 
脅迫、暴行、報復上等の半グレ集団。ウルトラスの実態を潜入記者が語る。<Number Web> photograph by Uniphoto Press

セリエAなどのゴール裏のサポーターには危険な人物も存在する。それを浄化するための動きをユベントスなどは見せている。

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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Uniphoto Press

 唐突だが、僕は過去に3年ほど“ウルトラス”と行動をともにしていた。

 中村俊輔が、南イタリアのレッジーナというセリエAクラブにいた頃の話だ。

 派手な応援バナーを仕立て上げ、発炎筒を焚き、ゴール裏から吼えるウルトラスという集団は、日本だと「熱狂的、過激派サポーター」と訳されることが多い。

 彼らの実態が知りたかった。伝手を頼り、町の最大グループの本部事務所に出入りするようになった。そして僕は、クラブとファンの関わり方やイタリア人にとってのサッカーとは何か、を考え始めた。

 今年9月16日、トリノ地方検察庁と同警察がユベントスのウルトラス4団体の代表ら計12人を逮捕または拘禁した。加重脅迫罪、資金洗浄、組織的暴行罪などの容疑で各団体の本部事務所が家宅捜索され、大量の証拠品が押収された。

 それは伝統的にサポーター組織と陰陽の結びつきを持ってきたイタリア・サッカー界にとって画期的事件だった。

ユーベが打ち出した関係断絶。

「ラストバナー作戦」と銘打たれた地検の捜査は、昨年6月、ユベントスのスタジアム警備責任者が公安当局に出向き、ウルトラスとの関係断絶への協力を仰ぎ告発したことに端を発する。

 つまり、イタリアきっての名門が長年にわたり特定の集団にチケットを融通するなどの便宜を図ってきたことを事実上認め、その上で彼らとの関係を断ち切ると宣言したのだ。

 逮捕された1人ディノ・モッチョーラは、ユベントスの本拠アリアンツ・スタジアムの南側ゴール裏スタンドを仕切っていたウルトラス「ドルギ」のボスだ。

 '89年の強盗殺人で収監された前科持ちで、クラブ側から譲渡されたチケットを高値で転売する元締めだった。今年7月にもセキュリティマネージャーの肩書きを持つユーベ側の折衝役を脅迫した。

【次ページ】 クリバリーに対する人種差別。

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