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過去5年のドラフト戦略にみる傾向。
高校生と野手を獲る球団は……強い! 

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小関順二

小関順二Junji Koseki

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2013/01/25 10:31

過去5年のドラフト戦略にみる傾向。高校生と野手を獲る球団は……強い!<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

2011年10月のドラフト会議で、東洋大のエース・藤岡貴裕の交渉権を獲得しガッツポーズするロッテの西村徳文監督(左)。

過去5年間で高校生を4人しか指名していないロッテ。

「現在の投手陣は異常だ。支配下登録されている36人の中に、19~21歳の世代が1人もいない。22歳も1人しかおらず~」とは、拙著『2012年版 プロ野球 問題だらけの12球団』(草思社)で指摘したロッテの問題点である。

 過去5年間、高校生を1人も上位で指名していないのはロッテだけである。3位以下も「大学生・社会人など」の10人に対して、高校生はわずかに4人。全指名選手24人中、高校生が17パーセントに当る4人だけというのは明らかにおかしい。チーム内に高校卒の成功選手がいないのかというと、そんなことはない。

(捕)里崎智也 (帝京大)
(一)福浦和也 (習志野高)
(二)井口資仁 (青山学院大)
(三)今江敏晃 (PL学園)
(遊)根元俊一 (東北福祉大)
(左)角中勝也 (高知ファイティングドッグス)
(中)岡田幸文 (全足利クラブ)
(右)清田育宏 (NTT東日本)
(指)サブロー (PL学園)
(投)成瀬善久 (横浜高)
       唐川侑己 (成田高)
       藤岡貴裕 (東洋大)
       渡辺俊介 (新日鉄君津)
       薮田安彦 (新日鉄広畑)
       益田直也 (関西国際大)

 主力選手15人中、高校卒は5人と多くないが、少し前まで西岡剛、堀幸一、橋本将という高卒選手がいたので、成功例が足りないわけではない。それでも高校生の指名を極端に減らしているのは、育成に手間をかけず、ある程度出来上がった大学生、社会人を多く指名して、促成栽培的にチームをこしらえようとする意図があるからだ。育てる手間を惜しむチームが強くなれるわけがないと私は思っている。

強いチームほど高校生を獲得してじっくり育てる傾向が。

 過去5年、高校生の上位指名が少ないチームは、ロッテ(0人)、DeNA(3人)、西武(3人)、オリックス(3人)で、西武以外、チームが低迷しているのが共通している。

 分離ドラフトが行われる前の'00~'04年の5年間に注目すると阪神が0人で最も少なく、横浜2人、オリックス2人、巨人3人、ヤクルト3人、西武3人と続いていく。ロッテはこの5年間だけ見ると、高校生を上位で6人指名し、広島と並んで最も多い。劇的なマイナス変化と言っていいだろう。

 こうして見ると、恒常的に高校生の指名が少ないのはDeNA、西武、オリックスの3球団である。逆に過去5年間で高校生の上位指名が多いのは中日7人、巨人6人、ソフトバンク6人、広島5人、日本ハム5人だ。

 高校生が全体に占める割合も見ていくと、ソフトバンクが61パーセントで最も高く、広島、楽天が46パーセント、中日45パーセント、巨人44パーセント、日本ハム42パーセントと続いていく。上位チームが多いのがひと目でわかる。

【次ページ】 投手・野手をバランス良く指名する広島は下位脱出!?

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