詳説日本野球研究BACK NUMBER
過去5年のドラフト戦略にみる傾向。
高校生と野手を獲る球団は……強い!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2013/01/25 10:31
2011年10月のドラフト会議で、東洋大のエース・藤岡貴裕の交渉権を獲得しガッツポーズするロッテの西村徳文監督(左)。
投手・野手をバランス良く指名する広島は下位脱出!?
野球は守るだけではない。攻めて点を取らないと勝てない。だが、0点に抑えきることができれば勝てないまでも負けることもないので、最も重要なのは投手陣を含めたディフェンスだ、というのが日本野球の常識になっている。しかし、そもそも19世紀後半のベースボール草創期においては、打者が高いコース、低いコース、中間のコースと投手に要望を出しており、そこに忠実に投げることが良い投手の条件だったという。
競技の形態が「投手対野手」に変わり、さらに日本流にアレンジし続けていった結果、現在のディフェンス重視の「野球」が出来上がったわけだが、もともとのベースボールの精神は、やはり「打って点を取る」ことにあるはずだ。
さて、'08~'12年の過去5年間のドラフトにおいて、1、2位の上位10人中、野手を最も指名してこなかったのは西武(1人のみ)である(1位指名に限れば1人もいない)。'00年以降、浅村栄斗3位、秋山翔吾3位、栗山巧4巡、中島裕之5位と中心選手を下位指名で獲得している自信があるのだろうが、骨太の打線を作るためには5年間で4、5人は上位指名で強打者を獲得したい。西武は高校生の指名も少なく、チームの作り方が保守的に傾きつつあるのが気になる。
対照的に投手対野手のバランスがいいのが広島の野手5人で、以下日本ハム4.5人(大谷翔平は0.5人換算)、巨人4人、DeNA4人、ソフトバンク4人、オリックス4人である。広島は高校生と大学・社会人のバランスもよく、いよいよBクラスを脱する気配が漂い始めている。