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「モリヤス最大の長所」は攻撃的3バックでも交代策でもなく…「指導者ハセベも、最高の答えだ」トルシエが驚く“森保流マネジメント”の進化
posted2024/12/15 11:04
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
JFA/AFLO
フィリップ・トルシエインタビューの第2回である。
W杯アジア最終予選が始まってから森保ジャパンは、ほぼ一貫して3-4-2-1システムを採用し続けている。それも守備的ではなく攻撃的なスタイルとして。そのことをトルシエはどう評価しているのだろうか。また現役を引退した長谷部誠が、フランクフルトに所属しながらスタッフに加わったことをどう見ているのか。トルシエの分析は続く。〈全3回の2回目〉
イタクラがただ一人で…本当に攻撃的だ
――11月の中国戦(○3−1)の日本は町田浩樹、板倉滉、瀬古歩夢、遠藤航、田中碧の5人で中央の守備ブロックを形成していました。
「守備陣では板倉が印象深かった。セットプレーのゴール以外も、素晴らしいディフェンダーだ。板倉や遠藤、田中の両ボランチ……本当に素晴らしかった。そのうえ日本は本当に攻撃的で、板倉がただ一人で後ろに残っていた」
――他のふたりのセンターバック、瀬古と町田はしばしば攻め上がっていました。
「その通りで、板倉とは大きく離れたポジションを取った。それができたのも、ポゼッションに対する自信があったからだ。瀬古と町田が高い位置を取るから、中国の攻撃陣は必然的に守備を余儀なくされた。中国の守備ブロックは後退せざるを得ず、中国がボールを奪っても、日本はそれぞれのポジションがキッチリと組織されていて、即座にボールを奪う態勢を整えて守備に入ることができた。私にはそれが目新しかった。
森保はチームをポジティブに進化させた。選手のポジション取りと相手のプレスに対処する能力の高さ。パニックに陥ることなくボールをキープする能力。しかも高い位置に守備ラインを敷き、ストッパーが高い位置取りをするから、中国は守備ブロックを下げざるを得ない。彼らは後退を余儀なくされた。それらはアジアカップでは見られなかった日本の進化だ」
ミトマ、ドウアン、クボも素晴らしい選手だ
――3-4-2-1システムで、サイドを攻撃的に活用しています。
「それはボールを保持できるからだ。フランスやドイツが相手でも、同じシステムで戦えると私は思う。だが、強いチームが相手となると、無意識的により守備的な選択を取るかもしれない。しかし伊東純也や中村敬斗、三笘薫、堂安律、久保建英も素晴らしい選手たちで、サイドから積極的に仕掛けられる。中国戦の久保は本当に素晴らしかった」
――両サイドで優位性を作れるのは、現在の日本代表の強みとなりました。