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「イトウとナカムラは抜きん出ていた」森保ジャパンの“W杯予選無双”トルシエが本音で評価「アジア杯と全然違う。おそらく史上最高世代だ」
posted2024/12/15 11:03
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
L'EQUIPE/AFLO
フィリップ・トルシエに11月のW杯最終予選、敵地で3−1の勝利を挙げた中国戦の話を聞くことになったのは偶然からだった。
日本代表の前々日練習の際に、彼が中国での監督時代に親しかったという中国人記者と知り合いになった。トルシエとは家族ぐるみの付き合いだったという彼女と一緒に撮った写真をSNSで送った際に、「突然だが試合後に電話インタビューが出来ないか」と尋ねたところOKの返事を得た。「記者会見の後に電話していいか」の問いには「16時(フランス時間で13時キックオフだった)からリハビリがあるから17時45分にかけて欲しい」という。この数日前にトルシエは、長年の懸案であった膝の手術をついに敢行した。人工関節を埋め込む手術は無事成功し、今はリハビリに専念しているとのことである。
1月のアジアカップではベトナム代表監督として日本と対戦したトルシエは、4~5月のU23アジアカップ、さらには夏のパリ五輪を戦ったU-23日本代表の動向もしっかりと抑えている。そんなトルシエの目に、アジアのライバル相手に無双ぶりを見せつけ、W杯予選で首位をひた走る現在の日本代表はどう映っただろうか。日本はアジアカップからどこが進化したのか。そして世界の中での立ち位置は……。
日本代表の1年を総括するうえでも意味のあるトルシエインタビューを、3回に分けてお届けする。まずはその第1回から。〈全3回の1回目〉
日本の皆さんは満足しているのか?
――元気でしたか?
「私の健康に問題があったのは知っているだろう」
――膝のことですね。手術はうまくいったと聞きました。それでリハビリを始めたわけですね。
「ああ、順調にいっている。2カ月後には回復の予定だ」
――それでも2カ月かかるのですか。
「ひと月で機能は回復するが、日常生活で普通に歩けるようになるまでは2カ月かかる。新年を迎えるまでに時間をかけておこなう。それが今の予定だ」
――長年の懸案がついに解決するわけですね。
「痛みはずっと感じていて耐え難かった。それがなくなるのだから嬉しい。それで日本の皆さんは(試合に)満足しているのか?」
「ベンチの奥行き」こそ日本の強さだ
――結果に関してはそうです。アウェイで連勝しましたし、2位グループとも大きな差がつきました。