ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER

「モリヤス最大の長所」は攻撃的3バックでも交代策でもなく…「指導者ハセベも、最高の答えだ」トルシエが驚く“森保流マネジメント”の進化 

text by

田村修一

田村修一Shuichi Tamura

PROFILE

photograph byJFA/AFLO

posted2024/12/15 11:04

「モリヤス最大の長所」は攻撃的3バックでも交代策でもなく…「指導者ハセベも、最高の答えだ」トルシエが驚く“森保流マネジメント”の進化<Number Web> photograph by JFA/AFLO

2024年1月のアジア杯で対戦したトルシエ(当時ベトナム代表監督)と森保一監督。現日本代表のチーム運営を高く評価する

「違いを作り出せる選手がいる。久保や伊東、中村、三笘、南野拓実……。彼らは個の力もあるうえにコレクティブで連動性にあふれている。チームのために献身することを厭わない。またキックも正確で、伊東や久保は質の高いCKやFKを蹴ることができる。すべてが揃った完璧なチームと言える。繰り返すが、日本史上最高の世代で、とても強固だ。チームはまだ若く、2026年W杯は日本にとって素晴らしい大会になるだろう」

――たしかにすべてがうまくいっています。

「もう一度言うが、このシステムのキモは3人のDFで、彼らが高い位置を保っていることだ。もちろんサポートも必要で、それを担っているのが田中と遠藤だ。彼ら5人がいるから、5人の攻撃陣――中村と伊東、久保、南野、小川航基が自由にプレーできた。5人が守備を強固に固め、3人のCBのクオリティ――この場合は攻撃的な能力で、ボールを失うことなく正確にコントロールできる能力が、超攻撃的なシステムを機能させている」

日本のベンチは“長い”。セルティック勢も…

――インドネシア戦(○4-0)では田中に代わって守田が、久保に代わり堂安が先発でした。

「日本のベンチは“長い”。久保の代わりに堂安を起用できるし三笘も使える。それにセルティックの選手たちも……」

――古橋亨梧や旗手怜央、前田大然ですね。11月の連戦ではそれぞれ途中出場しました。

「そうだ。しかし繰り返すが最大の進化は3人のCBで、彼らがチームに大きなプラスアルファをもたらした。攻撃陣の素晴らしさを称えられるのも、3人のCBがこれまでとは異なる役割を担うようになったからだ。

 思うにイタリアの新しい世代も同じで、イタリア代表は3人のCBに特徴がある。直近の試合でイタリアはフランスに敗れた(※11月17日、ヨーロッパ・ネーションズリーグ最終節。フランスが敵地で3−1で勝利)が、EUROもW杯も失意に終わったイタリアに、監督のスパレッティが自信を取り戻させた。進歩の鍵は日本と同様に、3人のCBの位置取りだと私は思っている。戦術の進化は常に議論になるが、3人のCBが今日の進化をもたらしたといえる」

――それが今の状況である、と。

「忘れてならないのは3人のCBだけでなく、彼らが前に行けるように低い位置取りをする2人のボランチも同様に重要だ。後ろに残るのが板倉ひとりだけでは、このシステムはうまくいかない。瀬古と町田が前でプレーするためには、遠藤と田中の守備のサポートが必要だ。あるいは守田英正だ。ボランチの役割は重大だ」

“私の息子”フジタは…エンドウ、モリタと同レベルだ

――守田はクラブでも代表でも素晴らしいです。

【次ページ】 ハセベのような人材を…モリヤスの大きな長所だ

BACK 1 2 3 NEXT
#森保一
#フィリップ・トルシエ
#長谷部誠
#町田浩樹
#板倉滉
#瀬古歩夢
#遠藤航
#田中碧
#伊東純也
#中村敬斗
#三笘薫
#堂安律
#久保建英
#小川航基

サッカー日本代表の前後の記事

ページトップ