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プロ通算2700安打超…“希代のヒットメイカー”青木宣親がこだわる「数字」とは? “熱烈なヤクルトファン”尾崎世界観との対話で明かしたこと
text by
青木宣親×尾崎世界観Norichika Aaoki & Sekaikan Ozaki
photograph byMiki Fukano
posted2024/09/12 11:05
偉大なヒットメイカー・ヤクルトの青木宣親(左)と大のスワローズファンでミュージシャン・作家の尾崎世界観の異色対話『青木世界観』が実現した
理由が読み解きづらいブレークの仕方も
さらに、Tik Tokが出てきたことによって、昔の曲が急にブレイクするという現象まで起きている。以前はひたすら新しいものを売り出し続けて、ダメならまた新曲を、というサイクルだったけれど、今は置いておけば置いておくだけ当たる可能性も広がる。どこにハマるか分からないから、とにかく数多くリリースしておくということが戦略の一つになっていたりもする。
聴かれ方にも変化があって、以前は「誰のどんな曲」というところで選ばれてい たものが、今はこのアーティストが好きだから追いかけるという感じではない。今これが面白いから聴く、しかも一部分だけ切り取って......というような、理由が読み解きづらいブレークの仕方も増えている。
アメリカやヨーロッパをはじめ、海外ではアニメの影響力が大きくて、アニメタイアップをきっかけにいつどこで大ブレークするか分からない。その規模は国内だけでは考えられないほどだ。さらに、国境を超えた契約の整備が不完全なために、 海外で大ヒットしているのにあまりお金は入ってこない、というような話もあって、未だに混沌としているような状況だ。
日本とアメリカ「数字」の感覚の違いとは?
野球も海を渡ることで可能性が大きく広がる世界だ。特に年俸という面では、ここ数年では日本とは比べ物にならないような数字が動いている。例えば大谷翔平選手の 契約は年総額7億ドル(約1040億円)、山本由伸投手は年総額3億2500万ドル(463億円)なんて言われているから、まさに桁違いだ。
それと同時に、アメリカは数字に対してシビアという印象もある。数字でキッパリと現実を突きつけられ、数字でその価値を判断される、というような。30歳の時に海を渡った青木さんは、日本とアメリカの数字の感覚の違いをどのように捉えたのか。
<続く>