Number ExBACK NUMBER
プロ通算2700安打超…“希代のヒットメイカー”青木宣親がこだわる「数字」とは? “熱烈なヤクルトファン”尾崎世界観との対話で明かしたこと
posted2024/09/12 11:05
text by
青木宣親×尾崎世界観Norichika Aaoki & Sekaikan Ozaki
photograph by
Miki Fukano
プロに入って意識した「数字」は3割
プロに入ってから最初に意識した数字は「3割」です。僕はアベレージヒッターなので、やはり結果を残すという意味で3割打つことは目標にしていましたし、今でも3割台に乗ってほしいという思いはどこかであります。
若い頃から振り返っていくと、一軍の試合に出るようになって、ただヒットを重ねるというところから同時に出塁率を上げることを意識するようになった。さらに長打を打てるようになってからは、ホームランの数字にも目が行くようになって、数字で言えば20発くらいを目指していました。短打しか打てなかった自分から、そうやってだんだんと大きくしていって、何でもできるような選手になる、というのが一つの目標でもありました。
ヒットも打てる、フォアボールも取れる、二塁打も打てる、ホームランも打てる、という選手。安打数に関しては、200に届きそうなら200安打を狙う。ただ、そこにだけ照準を合わせるとボール球にも手を出して出塁率が下がってしまうのが嫌だったので、その兼ね合いは考えていましたね。数字にがんじがらめになることはなかったですが、自分の現状を知るという意味でも数字を見るのは好きだし、意識するようにしていました。
節目の数字という意味では、200安打ですかね。ヒットを重ねていくにつれてメディアに煽られて意識してしまうようなところもあるんですが、最初の時(2005年)は、セ・リーグでは初めての大台ということもありましたし、第1章「チャンス」でもお話ししたように「行ききる」という意味でも絶対にそこを超えていくんだ、と狙いを定めていました。
2回目の2010年もやはりこだわっていました。複数回の200安打は史上初ということで、誰もやったことがないならやってみたい、と思っていました。この年はスワローズも早々に優勝争いから脱落していたので、シーズン終盤にモチベーションを保つのはなかなか難しい。となると余計に個人的なところを目指して集中していたような面もあります。
今は「3割」にこだわる必要がない時代?
ファンの方も、それを一つの楽しみとして見ているでしょうしね。安打数のような数字は、増減がある打率や、相手との兼ね合いがある勝敗と違って自分自身の毎日の積み重ねです。だから最終的に一つ大きな数字に到達できたというのは本当に嬉しかったです。