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「挑発的だが、政策は日本と比較できる」スペインでもフランスでもなく…トルシエが“W杯4強→パリ五輪銅メダル”モロッコに熱視線のワケ
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Nakachi/JMPA
posted2024/08/26 17:03
パリ五輪男子サッカー、スペインvs日本。個の力について語ったトルシエが、銅メダルのモロッコから見出した日本との共通点とは
「そしてモロッコのサッカーは、今、もの凄く進化した。インフラの整備も進み、育成の質やリーグのレベルの高さも、モロッコやエジプトのクラブがアフリカチャンピオンズリーグのベスト4に常に入っていることからもうかがえる。チャンピオンズリーグは実質的に彼らが支配している(註:2011年から今日までの14年間で、マグレブ諸国のチャンピオンズリーグ優勝は12回を数え、マグレブ諸国のクラブ同士の決勝も9回に達している)。
モロッコやエジプトと西アフリカ諸国との大きな違いは国内サッカーの進化の度合いだ。かつてはモロッコも、国外の選手ばかりに頼っていた。今もその比重に変わりはないが、国内でも同様に選手を育成している。エジプトはその点がずっと以前から顕著だった。アルジェリアやチュニジアと比べても優れているし、ナイジェリアやカメルーンとはさらに違う。比較ができるのは南アフリカで、こちらもまた優れた国内政策を実施している。
――なるほど。
「そして強調すべきはキャラクターで、モロッコには確固とした、あるいは過剰なまでに誇り高いキャラクターがある。アラブ諸国は概してどこも誇り高く、ちょっと挑発的でもある。キャラクターでありパーソナリティーだ。
改めて振り返ったとき、この五輪の最多得点チームはモロッコだった。6試合で17得点をあげた。6試合における最少失点チームでもあり、5失点しか喫しなかった。話題の中心は決勝に進んだ2チーム、スペインとフランスだったが、私はこの大会で最も印象深かったのはモロッコだったと思っている」
日韓W杯を開催を契機にした日本と同じだ
――ヨーロッパで育成された選手と国内政策により育成された選手たちが、ここ数年で結果を出すようになったのが今日のモロッコなのですね。
「それに加えて2030年W杯の開催国になったことが、モロッコの人々に責任意識を植え付けた。自国開催するために、すべての面で国際レベルに達しなければならないと、彼らは感じるようになった。インフラストラクチャーやメディア、外国人に対するホスピタリティ、練習場やスタジアムの環境……それらを整備し、責任感を感じることで、国際的にもトップレベルに達することができた」
――それは日本も同じでした。
「そう。日韓W杯を開催したことを契機に、トップレベルを目指せるようになった。問題はさらにプラスアルファをもたらすにはどうすればいいかだ」
<つづく>