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「守護神コクボを批判したくないが」「フジタは少年時代から…バルサでもできる」トルシエのパリ五輪ホンネ評価「日本はU-23ではトップ10だ」
posted2024/08/07 18:48
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Koki Nagahama/JMPA
パリ五輪男子サッカー準々決勝で、U-23スペイン代表と対戦したU-23日本代表は0-3で敗れ、今や悲願となった1968年メキシコ五輪以来のメダル獲得は今回もならなかった。
グループリーグは3連勝、無失点で1位通過。自信を持って臨んだスペイン戦だが、日本の組織的でコレクティブな守備が、スペインの個の力に屈する格好となってしまった。だが、フィリップ・トルシエは、結果は内容を反映していないという。そして日本にもチャンスはあったと。トルシエがスペイン戦を分析し、大会を通しての日本を総括した。
あれほどのゴールが否定されたのは考えられない
「あまり時間がない。この後、人と会うから最大で15分だ」
――わかりました。試合をどう見ましたか。
「0-3というスコアは日本にとって厳しすぎた。というのも日本がもし同点に追いついていたら――細谷真大のゴールが取り消されたのはスキャンダラスだった。たしかにVARはとても興味深いツールではある。とりわけ歴史的に弱小国が強国に対して被ってきた不利益を埋めるものであるからだ。VARがなければ、レフリーは自然と強国に有利な判定を下す。VARはレフリーの判定をより公平にするものだと私は捉えていた。
しかし今日、出現したのはVARの分析に関する別の段階だった。日本のゴールが取り消されたのは、攻撃側に利する判定ではなかった。細谷は踏ん張ってDFをブロックし、素晴らしいゴールを決めた。私には状況によく対処しているように見えた。あれほどのゴールが否定されたのは考えられない。そして日本が前半43分に同点に追いついていたら、試合の展開はまったく変わっていた。そこは間違いない。
前半の日本は素晴らしかった。とてもフレッシュな状態で……ふたつのチームはプレーの哲学の面で似通っていた。試合のテーマはどちらが自分たちのプレーを実現するかだった。だがスペインが、自分たちのスタイルで日本を圧倒することはなかった」
前半を同点で終えたら別の試合になっていた
――そうなった理由は、どこにあるでしょうか。