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〈大麻使用で直前に代表剥奪→パリ五輪出場〉アメリカの世論が沸騰した陸上女王リチャードソンの復活劇から考える「体操・宮田笙子の歩む道」
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS/AFLO
posted2024/08/02 17:02

パリ五輪出場を辞退した宮田笙子(左)と陸上女子アメリカ代表のシャカリ・リチャードソン
復活への道のり
2022年こそ全米陸上100m予選で敗退、200mも準決勝敗退で世界選手権代表を逃すなどパフォーマンスが上がらなかったが、昨年に入ると本来の走りを取り戻す。全米陸上の100mで優勝、200m2位で代表入りを果たした世界選手権では、100mと4×100mリレーで金メダルを獲得し、200mでは銅メダル。ポテンシャルを存分に示し、あらためてその存在を知らしめた。
勢いは今年になっても止まらない。今年の全米陸上100mで連覇を果たしてパリ五輪代表をつかみ、4年に一度の大舞台をついに現実のものとしたのである。
なぜ再起できたのか?
一度は代表の座を失ったリチャードソンが再起できた要因はどこにあるのか。
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大麻の使用が社会的に大きな罪になるものではなく、使用そのものを肯定的に捉える人も少なくないこと。使用するに至った動機が理解され共感を得られるものであったこと。その2点はあるだろう。
同時にリチャードソン本人が真摯に受け止め、それを自らの姿勢で示したことも大きかったのではないか。これらの要素があいまって、支援と後押しを受けられたことが、パリにつながっている。
4年の時間は長いが…
宮田は4年後、23歳を迎える。体操女子の競技年齢からすれば、ベテランの域ではある。4年という時間は長い。しかし、田中理恵はロンドン五輪に25歳で出場し、村上茉愛は24歳で東京五輪に出場している。
何よりもリチャードソンの歩みが示している。
意思あれば、宮田の道は閉ざされていないことを。
