オリンピックPRESSBACK NUMBER
杉原愛子「そういう目で見ないでほしいと言っても、見る人はいる」体操選手を狙う“性的撮影”…五輪では誹謗中傷も「選手村で話し合っていた」
posted2022/08/08 11:02
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
五輪に2度出場し、高い技術と華のある演技で観衆を魅了してきた杉原に、近年、JOCなどの公的組織でも議論されるようになっている女性アスリートの性的な画像投稿・拡散の問題や、SNSの誹謗中傷問題について考えを聞いた。(全3回の特別インタビュー3回目/#1、#2へ)。
「そういう目で見ないでほしいと言っても、見る人はいる」
性的な部分を強調する画像は、以前からあった。ただ、昨今はインターネット上で大量に拡散されるようになっている。性的な画像に関して、女子体操選手はターゲットになりがちだ。杉原はどのように向き合ってきたのか。
「私はどちらかというとあまり気にしないようにしていたタイプです。(性的な目的で投稿された)画像を目にしてしまった時などは嫌な気持ちはしますが、別にどうでもいいや、と流すようにしています。本当は、そういう目じゃなくて、体操を見てほしいという気持ちが大きいですけどね」
SNSでは、匿名のアカウントから不快な画像が送りつけられることもある。また、メディアの報道でも、何故この写真がチョイスされたのかと疑問に感じてしまうような写真が掲載されることがある。
杉原は「そういう時は、まあ、しゃあないと思うようにしていました。いくらそういう目で見ないでほしいと言っても、見る人はいますから、受け流すしかない。それが一番の自衛策でもあります」と語る。
「予選落ちしろ」「しね」東京五輪で送られた誹謗中傷
SNSでは言葉による暴力もある。とりわけ昨年の東京五輪前後はSNS上で選手への誹謗中傷が相次ぎ、社会問題になった。これについてはどのように対処してきたのだろうか。
「ある意味、私は、その誹謗中傷を真に受けるのは違うと思っていて、逆に、この人は私に注目しているんだというように、発想を転換するようにしていました」
杉原はそのように語る。
「それでもやはり、目にするだけで嫌な気持ちになる書き込みはあります。自分のことだけではなく、同じ日本代表の仲間に対しての書き込みで気分が悪くなることも多々ありました」