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「公立意識」は負け犬根性の象徴…なぜ“東海大相模OBの41歳”公立校監督は本気で甲子園を目指すか「変に謙遜する必要もない」 

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大利実

大利実Minoru Ohtoshi

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photograph by Minoru Ohtoshi

posted2024/07/08 11:02

「公立意識」は負け犬根性の象徴…なぜ“東海大相模OBの41歳”公立校監督は本気で甲子園を目指すか「変に謙遜する必要もない」<Number Web> photograph by  Minoru Ohtoshi

横浜清陵の野原慎太郎監督。この春ベスト8で、夏は第二シードから戦う

「上に行かなければ、見えてこないものがたくさんあります。慶應に負けたときは、『ここからまだあと3つもあるのか……』と正直思いました」

 準々決勝以降の余力に、大きな違いを感じる敗戦だった。 

ドーハの悲劇や大谷翔平から学んだこと

 今、横浜清陵の目標は「甲子園で勝つ」。見据えるステージがひとつ上がった。

 2022年夏の新チームが始まるときに、選手から「甲子園」という言葉が共通のキーワードとして出るようになったという。

「目標の手前で負ける事例として、『W杯出場』を目標にしていたサッカー日本代表の『ドーハの悲劇』(1993年アジア地区最終予選の最終戦で引き分けに終わり、W杯初出場を逃す)を特集したテレビ番組を見せました。そのうえで、大谷翔平投手(ドジャース)が花巻東時代に163キロを目標にトレーニングを重ねた結果、160キロを記録した映像を見せるなどして、絶対に達成したい目標より少し高い目標を設定する大切さを伝えていきました。『120パーセント目標の原則』と呼んでいます。目標が“甲子園出場”であれば、その手前で負けることが多い。こうした話をする中で、選手たちから出てきたのが“甲子園で勝つ”。よく言葉にしたなと思います」

 野原監督の想いも同じだ。

「ぼく自身も、甲子園で勝つことを目指してやっています。やるからには、上を目指したい。それに、『甲子園』と口に出さなければ、いつまで経っても見えてこない。神奈川では、希望ケ丘が勝って以来、70年以上、県立は優勝していませんよね。そう考えると、誰もやっていないのともう同じようなものです。そこに挑戦できるのが面白い。県立のほかの先生が先に優勝したら、めちゃくちゃ悔しいと思います」 

 近年の取り組みが評判を呼び、練習見学に来る中学3年生が増えている。一昨年、昨年と、100名近い中学生が来たが、必ず伝えていることがある。

「うちは甲子園で勝つことを目標にやっている。野球の技量以上に、高い志を持った生徒と一緒にやりたいと思っています」 

 中学生には、「必ず2校以上、練習を見学してください。そのうえで、どこでやりたいかを決めてほしい」とお願いしている。他校も見たうえで、「県立で本気で甲子園を目指したい」と覚悟を持った選手が集まり、現在はマネージャーを含めて、三学年で51名の部員がいる。

「公立意識」は負け犬根性の象徴

 前任の大師のときから、グラウンドには意識改革を促す、さまざまな格言を貼っている。変わらずにあるのが、この言葉だ。

【次ページ】 優勝したければ、優勝するチームのようにふるまえ

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