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「どうでした?逆に」選手から逆質問…“日本に勝って号泣”した中東チームと真逆「日本はアジアをナメていた」のか? 現地で見た熱量の違い 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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photograph byKiichi Matsumoto

posted2024/02/06 11:02

「どうでした?逆に」選手から逆質問…“日本に勝って号泣”した中東チームと真逆「日本はアジアをナメていた」のか? 現地で見た熱量の違い<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

イランに敗れ、アジア杯ベスト8で敗退となった日本代表。現地で取材を行った記者が見た「失敗の本質」

 インドネシア戦から中6日で行われた決勝トーナメント1回戦のバーレーン戦(○3-1)後のミックスゾーンでは、冨安健洋が「中6日って、チームが全体的に締まりがなかったというか、ちょっとフワフワしてんな、緩みがあるなという風に見えなくもなかったんですよ。どうでした? 逆に、そんな感じなかったですか?」と逆質問する場面があった。

 この時は、「中2日、中3日のほうがやりやすい選手が多いと思う」という話につながっていく流れだったが、冨安の目にバーレーン戦の日本チームに緩みが見えていたことに変わりはない。

日本に勝ったイラク、イランの選手は“号泣していた”

 こうして迎えた準々決勝イラン戦。1-2の逆転負けを喫し、大会から去ることが決まった後の取材エリアで、冨安は「熱量不足」を敗因に挙げた。

「イラクやイランという中東勢に、勝ちへの執着心で劣ったという見方もできなくない。熱量が足りない。僕も含めて足りない」と断じた。

 ただ、冨安の自戒した「熱量不足」を生み出す要因も、突き詰めて言えば“アジアをナメている”ところから発生しているのではないか。

 今の日本代表にはビッグクラブでヒリヒリする試合を日常的に戦っている選手が多くいる。欧州クラブはリーグ戦の真っ最中でもある。

 イラクのFWアイメン・フセインが日本戦勝利後の記者会見の席で涙をぬぐったり、イランのFWサルダル・アズムンが日本戦に勝利してフラッシュインタビューで泣いていたりする姿を見れば、アジアカップに懸ける熱量の違いは一目瞭然だった。

守田「考えすぎてパンク」の大問題

 もうひとつの敗因は守田英正が訴えた「考えすぎてパンク」の問題だ。ピッチ内で臨機応変に立ち回れる個・チームを目指し、その能力のブラッシュアップを図っている森保ジャパンは、一貫して「ボトムアップ型」のチーム作りをしている。勝っている時はそれが機能するが、良くない試合が続いたときには選手側の負担がかさむ。

 守田はイラン戦後に「チームをどうすれば良かったのかはハッキリ分からない。考えすぎてパンクというか、もっとアドバイスとか、外からこうした方がいいとか、チームとしてこういうことを徹底しようとかが欲しい」と訴えた。

【次ページ】 ナメて勝ち切れるほど、日本は強くなかった

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