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「どうでした?逆に」選手から逆質問…“日本に勝って号泣”した中東チームと真逆「日本はアジアをナメていた」のか? 現地で見た熱量の違い
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/02/06 11:02
イランに敗れ、アジア杯ベスト8で敗退となった日本代表。現地で取材を行った記者が見た「失敗の本質」
振り返ればこの問題は22年6月にも既に起きていた。同月の国際親善試合チュニジア戦後、三笘薫が「チームとしてどう攻めていくかの決まり事はいろいろ持たないといけない。狙いの細かさも全然足りていない。フィールド内の自分たちの対応力に委ねられているところがある」という発言をしたことで、チームコンセプトへの不安が露呈していた。
当時はその後、遠藤航が中心となって個々の意見を吸い上げて選手側の考えを森保一監督に伝えたことにより、指揮官から一定の指示が出るようになってカタールW杯に臨んでいた。
現在の第2次・森保監督体制は、コーチングスタッフに名波浩コーチ、前田遼一コーチを迎え、齊藤俊秀コーチを含めた3人のコーチが中心となって戦術指導をしている。最終判断は森保監督が下すという形になっているが、選手主体でやり方を決める部分も多く、意思決定の指令系統が複雑になっている。
ナメて勝ち切れるほど、日本は強くなかった
球際でも空中戦でもパワーに圧倒されたイラン戦を終え、堂安はこのように言った。
「日本はほとんどの選手がヨーロッパでやっていて、あのパワーに慣れているはずなのに、跳ね返せない。なぜか相手のパワーに支配された。何からくるのか分からないけど、負けに値するゲームだった。
後半は失点の形も悪く、普段はやれるところが脳からダメージが来て体が動かなくなった」
良くない形の失点とはいえ、十分に時間があった中で落ち込んだメンタルを奮い立たせられないほど、日本はもろくなっていた。
今大会、日本は5試合で3勝2敗。12得点、8失点だった。アジアは強くなっている。アジアは日本に対して徹底的に弱点を突く戦術を練り、愚直に繰り返してそこを狙ってくる。日本はアジアカップを制する力を持っているが、どこかにナメている要素があっても勝ちきれるほどの力はなかったということだ。日本はアジアカップに負けた。