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「まあ、そうなるよな…」久保建英と前田大然の交代で“不吉な予感”が…イラン戦カメラマンが現地で撮影した“日本が力尽きた決定的瞬間”
posted2024/02/06 17:01
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
見事なまでの力負けだった。
筆者が撮影した、2月3日のアジアカップ準々決勝。28分に先制点を奪って以降、日本はイランの勢いに飲まれ続けた。55分に同点に追いつかれると、食らいつくのが精一杯のまま時間が過ぎていった。
なぜ「史上最強の日本」はベスト8で散ったのか
幾度となくゴールを脅かされ、いつ逆転されてもおかしくなかった。半自動オフサイドテクノロジーにも助けられ、どうにか1-1のまま延長戦にこぎつけられそうだったが、最後の最後に決壊してしまった。
イランサポーターの目の前で、板倉滉がPKを与える。鈴木彩艶が飛んだ方向は的中していたものの、キャプテンマークを巻いたアリレザ・ジャハンバフシュに“GKがベストを尽くしても届かないコース”に蹴り込まれ、終戦。やはり、力負けという言葉しか見つからなかった。
国内だけでなく国外からも「史上最強」と評価されていた今回の日本代表は、ベスト8であまりにも呆気なく姿を消してしまった。
そんな敗退から一夜明け、少しリフレッシュした気持ちでイラン戦の写真を確認してみた。終わってみれば力負けの印象しか残らない試合ではあったが、前半は日本に頼もしさを感じていたことを思い出した。
例えば戦術面では、前田大然と伊藤洋輝を左サイドに並べた日本は、ジャハンバフシュを中心とした右サイドからの攻撃に対して“狙い”を達成していた。イランの攻撃は左に偏り、強引な前進を狙うことはあるものの、日本の先制点までは、彼ら特有のダイナミックな展開は失われていた。
また、当たりの激しさはアジア随一だったが、上田綺世が相手を背負いながら守田英正とのパス交換を成功させて先制点が生まれたように、日本は強度でもしっかり渡り合っていた。
先制後も、少しの間は日本のペースだった。約2分後、右サイドからの攻め手を欠いたまま先制されてしまったイランが突然ロングボールでサルダル・アズムンに裏を狙わせたが、いち早く反応した冨安健洋が先回りしてゴールキックに。この大会で抜群のリーダーシップを発揮しているアーセナル所属の25歳は、「バモ!」と叫びゴール裏のサポーターを盛り上げてポジションに戻っていった。