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記者の質問で“不穏な会見”に…それでも“日本を苦しめた”トルシエ監督(68歳)に久保建英、中村敬斗が驚いた理由「圧倒された感じがあった」
posted2024/01/15 17:13
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Masashi Hara/Getty Images
かつて“赤鬼”と呼ばれるほど激情家だった面影はおおよそ消滅しており、穏やかなムードすらあった。しかし、約20年前に日本代表に「フラット3」を叩き込んだ姿を思い出させるような、独自性の強い戦術をチームに落とし込む哲学は健在だった。
アジアカップ2023、グループDの初戦。ベトナムを率いる元日本代表監督フィリップ・トルシエ監督が日本を大いに苦しめた。そしてその戦術は、02年日韓W杯前後に生まれた選手たちの心を大いに揺さぶった。
取材中にトルシエの姿を見つけた久保は…
試合後のミックスゾーン。後半39分からピッチに立つや、上田綺世が決めたとどめの4点目をアシストした01年生まれの久保建英が、高揚感を残したまま報道陣に対応している時のことだった。
22歳の久保の背後を、会見を終えた68歳のトルシエ監督が通っていった。フランス人指揮官は誰かに話しかけることもなく、足音を響かせるでもなく、シンプルに移動経路を歩いていたわけだが、久保は「いま横にいますけど」と言って絶妙なタイミングでベトナムについての言及を開始。
「トルシエ監督に僕たちがやろうとしていることをやられちゃったというか、相手の嫌がることをやって自分たちのペースで運ぶことを前半はずーっとやられていた。彼らのこの試合にかける意気込みも見せられつつ、気持ちだけじゃなくて戦術もいいものがあった。僕はベンチで見ていて圧倒された感じはありました」と一気に言った。