サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「どうでした?逆に」選手から逆質問…“日本に勝って号泣”した中東チームと真逆「日本はアジアをナメていた」のか? 現地で見た熱量の違い
posted2024/02/06 11:02
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Kiichi Matsumoto
3大会ぶり5度目のアジア制覇を目指した森保ジャパンが、アジアカップ準々決勝でイランに1-2の逆転負けを喫し、ベスト8で姿を消した。FIFAランクはアジアトップの17位であり、開幕前まで9連勝と波に乗って自他共に認める優勝候補の筆頭格だったが、今大会で見えたのは苦しい時に我慢しきれないもろさだった。個も組織ももろかった。
数ある敗因の中から現場で感じた2つのファクターを深掘りする。
選手発言から読み解く「日本はアジアをナメていた」
敗因の一つは端的に言えば「アジアをナメていた」ということだ。日本はグループリーグ初戦のベトナム戦で一時は1-2と1点のビハインドを負った。終わってみれば実力に物を言わせて4-2の勝利を収めたが、危なっかしい場面が散見された試合だった。
問題点がより露わになったのはグループリーグ第2戦のイラク戦。日本は相手のハイボール攻撃に圧倒され、身長189cmのFWアイメン・フセインに前半だけで2点を奪われ、終了間際に1点返すのがやっとだった。
堂安律は「勝つためには最悪、前半0-0でOKという形も持たないといけない。W杯で僕らが学んだはずなのにアジア杯でできなくなっているのは、アジアをナメているだけだと思う」と厳しい口調で言った。
1、2戦目とも出番のなかった中山雄太は外から見て気づいたこととして「僕のイメージでは一歩、半歩、相手から遠かった。ルーズボールが相手に転んだり、ファーストコンタクトのところでもあまり勝てていない」と指摘した。中山は自身の考えを選手たちにもハッキリ伝えたと言い、「僕は好調という名の麻薬だと思っている」とも表現していた。球際や走る部分で戦わずして勝てるほどアジアは甘くない。
「どうでした?逆に」冨安からの逆質問
チームはグループリーグ35年ぶりの黒星となったイラク戦後、問題点の修正を図るためにディスカッション形式のミーティングを行ってピッチ内の見解を共有し、グループリーグ突破を決めたインドネシア戦後にはポジション別のミーティングを敢行した。ポジション別のセッションは上田綺世によると「僕がいる代表活動時では初めて」という異例の取り組み。各グループで有意義な意見のすりあわせができたというのは誰もが認めていたことで、これでチームは引き締まったかに思えたが、実際は決め手にはならなかった。