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「なぜ簡単に海外移籍させるのか?」来日18年ミシャ監督が“Jリーグの常識”に疑問「ミトマは1年目から…」「ヨーロッパなら数十億円が動く」
posted2023/12/01 11:04
text by
佐藤景Kei Sato
photograph by
Kiichi Matsumoto
2023シーズンのJ1は1試合を残し、ヴィッセル神戸が優勝を決めた。優勝を争った横浜F・マリノスの2位も確定した。ミシャことミハイロ・ペトロヴィッチ監督率いる北海道コンサドーレ札幌は現在11位。ホームで迎える最終節の浦和レッズ戦と他クラブの結果によって10位から13位までいずれかの順位でフィニッシュすることになる。
決してそれだけではないにせよ、ヨーロッパ各国リーグの順位と同じく、Jリーグもまたクラブの予算規模と順位の相関関係が色濃く出る結果になった。
Jリーグが発表したところによれば、2022年度のトップチームにおける人件費の総額1位はヴィッセル神戸の48億3900万円、2位は横浜F・マリノスの34億1500万円だった。つまり、今季のJ1優勝チームと2位チームだ。札幌の人件費は12位の18億1400万円。人件費の大きさがやはり成績に反映していると映る。ミシャの意見はどうか。
“予算の差”を何で埋めるべき?
「もしも神戸に大迫勇也がいなければ順位はもっと下で、ひょっとしたら8位くらいだったかもしれない(笑)。彼らには、一人で22ゴールを生み出すような、それほど重要な選手を獲得できる資金力があるということだ。1シーズンで多くのサラリーを稼ぐ選手が、その価値を示したわかりやすい例と言える。得点する能力に関して言えば、監督の指導でどうにかなるものではない。そういう選手を連れて来られるチームが上の順位に立つのが、この世界の一つの現実だ。
ただし、Jリーグはヨーロッパに比べればまだまだ監督の仕事によってその差を埋められる余地がある。時間をかけてチームを作ることでその差を埋められる可能性がある。以前、アーセン・ベンゲルさんが『リーグ優勝する監督やチャンピオンズリーグを制する監督が常にベストな監督とは限らない。プレミアリーグのクラブが全て同じ予算で戦ったとしたら、どのチームの監督がより優れた指導力を持つのか分かるはずだ』と言っていた。その点は私も同じ考えだ」
予算が成績を決める現実を前にして、監督に何ができるのか。現役監督であるミシャは、言う。