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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「足裏がゴツい、指が長い」“下駄”で走り回っていた佐野海舟(22歳)ビックリ幼少時代…森保ジャパン新戦力“驚異的な回収力”のナゾ
posted2023/11/24 11:03
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Kiichi Matsumoto
驚異的なボール奪取力とボール回収能力で、J2から日本代表まで一気に駆け上がっていった佐野海舟(22歳)。今季から加入したJ1鹿島アントラーズでもすでにチームの中枢として活躍し、今後もさらなる飛躍が期待される。
高校時代の恩師である米子北高サッカー部の中村真吾監督に当時のエピソードを取材していると、気になる発言があった。
「初めて見た時は驚きました。すごく分厚くて、『絶対に怪我をせんやろ』と思いましたね」
中村が驚いたと話すのは、ソックスを脱いだ後の佐野の足を目撃した時のことだ。5本の指は長く、まるでゴツい手のひらのよう。何度も相手を追走してボールを奪い、鋭い出足でセカンドボールを回収する驚異のフットワークの秘密がここに隠されていた。
“足の秘密”のルーツには、父・龍一さんの珍しい教育法がある。
ちなみに先に明記しておくと、「海舟」というインパクトある名前は江戸幕府最後の陸軍総裁で明治時代初期に渡って活躍した偉人・勝海舟に由来する。「最初は『龍馬』とつける予定だったのですが、父(海舟の祖父)から『短命で終わってしまった偉人よりも長い人生を送って欲しい』と言われ、じゃあ龍馬の師匠である勝海舟にしよう」と名づけたという。
運動靴ではなく“下駄”を履いていた
生まれは岡山県津山市。自然豊かな場所で生まれ育った海舟少年は弟・航大(J2ファジアーノ岡山→NECナイメヘン/オランダ)と一緒に外で走り回って遊ぶことが多かった。しかし、佐野兄弟が近所の子どもたちと少し異なっていたのは、運動靴ではなく“下駄”を履いていたこと。龍一さんはその理由を明かす。
「幼少期からスニーカーに慣れてしまうと、地面に対して正しい足のつき方ができなくなる。そうなると何かスポーツをやることになった時にバランス感覚が足りなくなるし、怪我も多くなってしまうと思ったんです。正しい足のつき方は膝を伸ばしてかかとから地面につく。そして指先で蹴るように足を抜くのが理想ですから」
この考えに至った背景には、過去のスポーツ経験がある。