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“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
佐野海舟の恩師が謝罪「心配して申し訳ない」“22歳で堂々代表デビュー”に驚き「昌子とはルートが違ったので…」森保ジャパン新ボランチ候補の原点
posted2023/11/24 11:02
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Kiichi Matsumoto
サッカーW杯アジア2次予選で、日本代表デビューを飾った佐野海舟(22歳)。
中盤の底を定位置にプレーする佐野の最大のストロングは、素早いプレッシングとボール奪取力。そして何より「名は体を表す」と言わんばかりのセカンドボール回収(かいしゅう)能力だ。
ミャンマー戦では後半頭からピッチに立つと、日本の猛攻に対して相手が懸命に掻き出したボールをいとも簡単に拾い続けた。まるで足元にボールが吸い込まれているかのような佐野のプレーに対し、ミャンマー代表の選手が「あの7番(佐野)は一体、何人いるのか」と漏らすほどだった。所属する鹿島アントラーズでのプレーそのまま、サムライブルーを纏っても才能の片鱗をしっかりと見せつけた。
「ボール奪取回数」がリーグ記録に
2019年にJ2町田ゼルビアに加入。選手権に出場するなど高校年代では名が知れた選手ではあったが、世代別代表経験はなく、知名度は決して高くはなかった。しかし、1年目から出番を掴むと、2年目では不動のレギュラーを勝ち取った。
すぐに周囲の信頼を掴めたのは、前述の通り豊富な運動量を駆使した鋭い寄せからのボール奪取だけでなく、中盤でこぼれたボールを2次、3次攻撃へと繋げる重要な役割を果たしたからだ。単にボールを回収するだけではなく、前に運び、正確に味方に渡すことで全体の矢印が常に前を向く。だから佐野の存在感は際立っていた。2022年には90分間のボール奪取回数でJ2リーグ1位の20回をマーク。そのプレーは名前にちなんで『佐野回収』と呼ばれるようになり、徐々に市民権を得た。
そんな活躍をJ1クラブが放っておくはずがなく、今季から常勝軍団・鹿島アントラーズに完全移籍。開幕戦からレギュラーの座を掴み、追加招集という形ではあったが、あれよあれよという間に日本代表にたどり着いた。
佐野の堂々たるプレーに目を細めるのが、高校時代の恩師で、現在も米子北高サッカー部を率いる中村真吾監督だ。
「代表に選ばれたときは、他のメンバーが豪華すぎるので正直、大丈夫かなとかなり不安に思っていました。でも、フタを開けてみたら、普段通りのプレーをやってのけた。心配して申し訳ないという気持ちでしたね。本当にたくましいです」