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ドラフトウラ話…「巨人の本当のサプライズは…」盟主のプライドを見た《4連続社会人指名》ドラフト全指名を検証する《西武・巨人・楽天編》
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![安倍昌彦](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/6/3/-/img_63c0172edf1a3eec5d5017836b5eb9301895.jpg)
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/11/09 11:01
![ドラフトウラ話…「巨人の本当のサプライズは…」盟主のプライドを見た《4連続社会人指名》ドラフト全指名を検証する《西武・巨人・楽天編》<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/3/b/700/img_3be813d6a33e9040964afffcd88869b21178369.jpg)
巨人1位指名の西舘勇陽投手(中央大・185cm79kg・右投右打)
出来ないことのない総合力の高さは大学生レベルの左腕・杉山遙希(投手・横浜高)を3位に、出来ないことはまだいくつもあるが、エンジンの大きさなら超高校級の4位・成田晴風(投手・弘前工高)。同郷の偉大な先輩・外崎修汰内野手が喜んでいるだろうが、お世話になろうと思っちゃいけない。一軍とファームの生活は、時間帯も場所も「それぞれ」だ。
5位・宮澤太成(投手・IL徳島)と6位・村田怜音(内野手・皇學館大)の2人には、私の思い入れもひとしおだ。
宮澤投手は、北海道大法学部“5年生”の学生さんである。プロ入りを志して、大学に在籍したまま今年は独立リーグで奮投し、スカウトにアピールしたのが実った。
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北海道大2年生の秋、リーグ戦で投げている宮澤投手を偶然見つけて驚いた。当時で183cm85kgの堂々の体格で、豪快なオーバーハンドから140キロ台の速球を投げ下ろしていた。その日から私の「隠し玉」になっていた。独立リーグで武器のフォークをしっかり止めてもらえるようになり、速球も最速が150キロを超えた。
「伊勢のガリバー」と私が勝手に名付けて、そう呼んでいる村田選手。
デカイ体だけで野球をする選手じゃないので、「野球」が伸びた。思考と試行と工夫と改善。その繰り返しで、リーグ戦通算20本塁打。見えなくなるほど飛ばす打球の方向がバックスクリーンから右中間、左中間……これがいい。
一塁手からスタートして、三塁手も外野手もこなせるようになったのは、おびただしい数の「反復」のおかげ。自分から練習できるヤツ。西武も「レオン」だから獲ったわけじゃない。人気者になれる選手だ。
西武は育成指名にも独立リーグの注目選手が
今年の西武ドラフトについては、語るべきことが尽きない。
「ヤクルト」の項で名前を挙げた育成4位・金子功児遊撃手(BC埼玉)。支配下で指名される選手だと思っていた。光明学園相模原高(神奈川)から入団して2年目の新鋭。フィールディングのスピードや捕球点での柔らかい当たり、スローイングの精度も大きな欠点なし。外野を抜いていくライナー性の長打力に俊足。3年後、アッと驚く存在になれる。
今回のドラフトで6選手が指名されたIL徳島から、西武が3人を指名。
巨体から妙な変化をする「魔球」を投げる左腕の育成1位・シンクレア・ジョセフ・孝ノ助は、米・メアリー大学を卒業してからIL徳島に入団。
広陵高当時は145キロ前後の速球本格派だった育成2位・谷口朝陽は、練習を見た人の話では、ルーキーイヤーの今季から、軽々オーバーフェンスを連発するバッティングに驚いたという。
「独立リーグだろ」といわれて、一段低く見られていた時代は間違いなく過ぎようとしている。