マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフトウラ話…「巨人の本当のサプライズは…」盟主のプライドを見た《4連続社会人指名》ドラフト全指名を検証する《西武・巨人・楽天編》
posted2023/11/09 11:01
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
“12球団”の代表者になったつもりで実際にドラフト候補選手たちを全指名して、ひとりで「ドラフト会議」を完走する「ひとりドラフト」。今年も10月26日のドラフト会議前に「ひとりドラフト」で全指名選手を予想した筆者。
ドラフトの結果を受けて、セ・パ全球団の支配下指名された選手たちを検証します。ウェーバー順、第2回は西武・巨人・楽天編です。【全4回の2回目/#1、#3、#4へ】
(※選手たちの年齢はすべて今年度(~24年3月)の満年齢に統一。また、育成ドラフト指名の選手を取り上げる場合は、その選手のみリスト入りしています)
3球団競合の即戦力左腕を西武が獲得
【西武 ドラフト指名選手】
1位 武内夏暉 22歳 投手 國學院大 185cm90kg 左投左打
2位 上田大河 22歳 投手 大阪商業大 182cm86kg 右投右打
3位 杉山遙希 18歳 投手 横浜高 181cm80kg 左投左打
4位 成田晴風 18歳 投手 弘前工高 185cm86kg 右投右打
5位 宮澤太成 24歳 投手 IL徳島 185cm95kg 右投右打
6位 村田怜音 22歳 内野手 皇學館大 196cm110kg 右投右打
7位 糸川亮太 25歳 投手 ENEOS 174cm77kg 右投右打
育1 シンクレア・ジョセフ・孝ノ助 22歳 投手 IL徳島 193cm94kg 左投右打
育2 谷口朝陽 19歳 内野手 IL徳島 185cm85kg 右投右打
育4 金子功児 20歳 内野手 BC埼玉 176cm77kg 右投左打
【西武 総評】
ADVERTISEMENT
3球団の1位指名が重なった武内夏暉投手(國學院大)を射止めたのは、今のライオンズにとってこれ以上の朗報はないはずだ。ほんとなら、「佐々木麟太郎」だったのかもしれないが、海外研修が決まってそれで方向転換ならしかたない。
今季2年目のサウスポーコンビ・隅田知一郎(9勝10敗)が先発で、佐藤隼輔(18ホールド)がリリーフで軌道に乗り始め、そこに速球の強さと変化球の制球力を持った先発タイプの武内投手が加わる心強さ。あとは、チームが鶴首して待つ剛球左腕・羽田慎之介の故障が癒えて台頭してくれば、「左腕王国」の誕生となろう。
さらに2位・上田大河(投手・大阪商業大)と7位・糸川亮太(投手・ENEOS)。高い実戦力の2投手が加わる。この2人には、共通項がある。ピンチを切り抜ける強靭さだ。きびしい場面ほど、腕の振りが猛烈化する。
地面に突き刺さるようなタテの変化に、高めの速球も交える高度な投球術の上田投手。ピンチでの投球には狂気すら漂う。
糸川投手、7位指名の瞬間は「しまった!」と膝を叩いた。立正大で、ENEOSで、速球以上の腕の振りからスッと沈むボールでピンチを切り抜け、ガッツポーズでベンチに戻る糸川投手の「勇姿」を、そういわれてみれば、何度も見ているのだ。快腕ひしめくENEOS投手陣……この小柄な右腕は「盲点」だった。