甲子園の風BACK NUMBER
「甲子園の優勝投手はプロで大成しない」は本当か? 松坂大輔がいた1998年以降を検証「プロ入り64%」「高校で硬式野球をやめた例も…」
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/08/26 11:07
甲子園の優勝投手は大成しない――。定説は本当か? 四半世紀の優勝投手を検証してみた(写真は2016年優勝投手の今井達也)
そして残る1人が、あのがばい旋風を巻き起こした2007年の馬場将史(佐賀北)である。公立進学校として知られる同校卒業後は中央大に進み、準硬式野球部に入部。卒業後は商社マンとして活躍している。
「大成した」投手は?
それでは、プロに進んだ14人の優勝投手たちを見てみたい。プロでの“大成度”を検証すべく、本企画では「勝ち星は1ポイント、セーブとホールドは各0.5ポイント」として計算した(MLBでの成績も含む。現役の場合は途中経過。数字は2023年8月1日時点)。
100ポイント以上を上げている「Sランク」は14人中2人(14%)。2005年の田中将大(駒大苫小牧/楽天)が196ポイントでトップ。1998年の松坂大輔(横浜/元西武ほか)が172ポイント。
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つづいて、100ポイント未満ながら50ポイント以上の「Aランク」が、14人中3人(21%)。2001年の近藤一樹(日大三/ヤクルトほか)が80ポイント。次いで2012年の藤浪晋太郎(大阪桐蔭/オリオールズ)が69ポイント。2013年の高橋光成(前橋育英/西武)が63ポイント。
ただし、藤浪は現在29歳、西武で3年連続開幕投手継続中の高橋は26歳で、年齢的にもSランク昇格の可能性を有していると言えるだろう。
49ポイント以下の「Bランク」は、14人中6人(43%)と、割合的には最も多い。2015年の小笠原慎之介(東海大相模/中日)が40ポイント。2017年の清水達也(花咲徳栄/中日)が35ポイント。2016年の今井達也(作新学院/西武)が34ポイント。1999年の正田樹(桐生一/元日本ハムほか)が27ポイント。2006年の斎藤佑樹(早稲田実/元日本ハム)が15ポイント。2018年の横川凱(大阪桐蔭/巨人)が4ポイント。
25歳の小笠原は、2023年に2度目の開幕投手を務めるなどエース格として活躍中で、Aランク昇格の可能性が高い。同じく中日の清水は、昨年から中継ぎに回り、大車輪の活躍を見せている。2021年に8勝をあげ、ローテーションの一角を担う25歳の今井と合わせて、Aランクへの昇格が期待される。