甲子園の風BACK NUMBER
「甲子園の優勝投手はプロで大成しない」は本当か? 松坂大輔がいた1998年以降を検証「プロ入り64%」「高校で硬式野球をやめた例も…」
text by
太田俊明Toshiaki Ota
photograph byHideki Sugiyama
posted2023/08/26 11:07
甲子園の優勝投手は大成しない――。定説は本当か? 四半世紀の優勝投手を検証してみた(写真は2016年優勝投手の今井達也)
プロでのポイント数を調べると、100ポイント以上のSランクが9人(16%)、50ポイント以上のAランクが9人(16%)、1ポイント以上のBランクが26人(46%)、ポイントなしのCランクが13人(23%)となった。
ちなみに、Sランクの9人は次のような投手たちだ。2004年のダルビッシュ有(東北/パドレス)が196ポイント。同じく2004年の涌井秀章(横浜/中日)が183ポイント。1998年の藤川球児(高知商/元阪神ほか)が183ポイント。2013年の松井裕樹(桐光学園/楽天)が170ポイント。2006年の前田健太(PL学園/ツインズ)が165ポイント。2005年の山口俊(柳ヶ浦/元巨人ほか)が134ポイント。2001年の大竹寛(浦和学院/元広島ほか)が123ポイント。2007年の唐川侑己(成田/ロッテ)が110ポイント。2009年の菊池雄星(花巻東/ブルージェイズ)が103ポイントとなっている。
大谷、佐々木朗希は「優勝してない」
では、「夏の優勝投手」と「その年の全国ナンバーワン投手」を比較して、プロでの大成度がどうなっているか見てみよう。
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Sランク 夏の優勝投手/14% 全国ナンバーワン投手/16%
Aランク 夏の優勝投手/21% 全国ナンバーワン投手/16%
Bランク 夏の優勝投手/43% 全国ナンバーワン投手/46%
Cランク 夏の優勝投手/21% 全国ナンバーワン投手/23%
それほど大きな差はないものの、「ナンバーワン投手」の方がSランクの確率が高く、他方で「優勝投手」が、SランクとAランクを合わせた“大成した投手の割合”でリードし、かつプロで1ポイントも挙げられなかったCランクの割合が少ない。
「ナンバー1投手」組には、将来確実にSランクに入ってきそうな2012年大谷翔平(花巻東/エンゼルス)、2019年佐々木朗希(大船渡/ロッテ)、2019年宮城大弥(興南/オリックス)といった大物が控えており、やはり突出したスーパー投手が出現する確率は「その年の全国ナンバーワン投手」組の方が高そうだ。他方で夏の甲子園優勝投手組は、試合を作る総合力に長けている、と言えようか。
今夏の優勝投手は慶応・小宅雅己。まだ2年生とあり、来年も甲子園出場、さらには連覇のチャンスが残されている。今後の活躍を楽しみに見守りたい。
【選手の進路/プロ成績の参考データ】
・NPB公式データ
・NPB各球団ホームページ
・各大学硬式野球部ホームページ
・週刊ベースボールONLINE
・神出設計ホームページ(岩田聖司氏の現在について)
・TBS系『THEプラチナリスト』(2022年9月18日放送)
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。