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森保ジャパンは6月シリーズで何を「発見」したのか? 大きな収穫は“大迫勇也の幻影”を感じさせなかったFW陣と「4-1-4-1という答え」
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/06/22 17:14
ペルー戦でゴールを決めた前田大然と三笘薫。2試合で計10得点という結果以上に、森保ジャパンにとって収穫の多い6月シリーズとなった
課題とされていた左右のSBにも新戦力が台頭
計27人が招集された今回のメンバーには、初招集の選手が4人含まれていた。DF森下龍矢、MF川村拓夢(体調不良のため途中離脱)、MF川﨑颯太、そして川村の離脱に伴い追加招集された伊藤敦樹の4人だ。
そのなかで、先発出場のチャンスをつかんだのは森下だ。エルサルバドル戦で左サイドバックに指名された。
長友佑都に代わる左サイドバックの発掘は、森保監督にとって喫緊の課題である。3月はパリ五輪世代のバングーナガンデ佳史扶が抜擢されたが、今回は森下がテストされた。
日本が開始早々に2点のリードを奪い、なおかつ11対10になったため、選手が受けるプレッシャーはかなり軽減された。サイドバックであれば、相手の圧力を跳ね返したうえで攻撃に加わっていく、といった局面はほぼなくなった。森下自身は周囲との連携にぎこちなさを感じさせず、思い切った攻撃参加を試みていたが、個人的な評価は今後に持ち越された。
ペルー戦では伊藤洋輝が左サイドバックに入った。本職ではないこのポジションも、違和感がなくなってきている。22分には三笘薫がサイドに張り出すことで生まれるスペースへ出ていき、得意の左足で先制点となる代表初ゴールを叩き込んだ。左サイドバックとしての信頼を、ペルー戦で高めたと言っていい。
右サイドバックでは、3月の2試合に引き続き菅原由勢が存在感をアピールした。タッチライン際をアップダウンしながら内側のレーンも活用でき、ビルドアップに効果的に関わることができている。同サイドでプレーする堂安律、久保建英、伊東純也らのタイプに応じて、彼らの生かし方を変えることもできている。着実に地歩を固めている印象だ。
森保監督による興味深いトライもあった。相馬勇紀の右サイドバック起用である。
ポルトガル1部のカーザ・ピアに在籍するこの26歳は、これまで2列目の左サイドを担ってきた。しかし、三笘が競争から一気に抜け出してきた。22歳の中村敬斗もチャンスを与えられている。そうしたチーム事情もあってのコンバートだが、Jリーグではウイングバックでもプレーしていただけに、まっさらな状態からのトライではない。森保監督は「攻撃に出ていく推進力」を評価しているが、エルサルバドル戦で古橋のヘディングシュートをアシストし、ペルー戦でも攻撃に意欲的に絡んだ。