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森保ジャパンは6月シリーズで何を「発見」したのか? 大きな収穫は“大迫勇也の幻影”を感じさせなかったFW陣と「4-1-4-1という答え」
posted2023/06/22 17:14
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph by
Kiichi Matsumoto
しっかりとした解答を、ピッチ上に示した。
6月15日にエルサルバドルと、20日にペルーと対戦した日本代表には、いくつかの焦点があった。
“大迫勇也の幻影”を感じさせなかったFW陣
ひとつ目は「大迫勇也の招集外」である。
度重なるケガに苦しめられた2022年から一転して、23年の大迫はJリーグ開幕からハイパフォーマンスを維持している。すでに2ケタ得点をマークしている33歳は、国際舞台で戦う準備を整えていると見えた。
しかし、森保一監督は大迫の復帰を見送る。FWは浅野拓磨、古橋亨梧、前田大然、それに上田綺世の4人で今回の2試合に臨んだ。
エルサルバドル戦では、上田が先発で起用された。カタールW杯のコスタリカ戦以来のスタメン出場となった24歳は、1点を先制した直後に前線からのプレスでボールを奪い、ペナルティエリア内で相手CBのファウルを誘発する。主審はペナルティスポットを指し、上田は自ら右足で蹴り込んだ。国際Aマッチ15試合目で、待望の初ゴールをマークした。
上田を倒したCBは退場となり、日本は早々に数的優位に立つ。結果はともかく個人の評価を下すのは難しい展開となっていくが、上田はその後も際どいシュートを放ち、チームの4点目の起点になった。後半開始早々にはこぼれ球に反応してネットを揺らすが、これはVARで認められなかった。
PK以外にもチャンスはあっただけに、本人も「もっともっと決めなくてはいけない」と話したが、代表初ゴールには「とりあえずホッとしています」と胸を撫で下ろした。得点を決めたことで緊張感から解放され、所属クラブで見せた決定力を代表でも発揮していくとの期待を抱かせる。
その上田に代わって65分から出場した古橋は、73分にチームの6点目となるヘディングシュートを突き刺した。代表では21年6月以来の通算4得点目で、短い時間で結果を残した。
続くペルー戦では、古橋が先発に指名された。61分までの出場で得点を記録することはできなかったが、相手ゴールに鋭く迫っている。DFラインの背後を突く動き出しと、両サイドからのクロスに飛び込む感覚は、ペルーの守備陣をはっきりと苦しめていた。
古橋が代表のピッチに立つのは、昨年9月以来だった。それ以前も途中出場が多い。継続的に招集することで周囲との連携が確立されれば、彼の良さが引き出されるだろう。
森保監督は上田と古橋の先発起用について、「ヨーロッパで結果を残している」ことを理由にあげた。FWの序列については「完全に固まっていることはない」としたが、今回のFW陣が大迫の幻影を感じさせなかったのは確かだ。