ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
「日本のアドバンテージは攻撃でふたつのユニットを組めること」トルシエがドイツ戦の可能性を50:50だと語る根拠とは?
posted2022/11/22 17:03
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph by
Getty Images
フィリップ・トルシエインタビューの第2回(中編)である。
日本がグループリーグを突破するためには少なくとも勝ち点4が必要。そしてそれはドイツとコスタリカから獲得すべきで、スペイン戦を突破のための試合にしてはならないというのが、以前からの彼の主張だった。
その考えを、トルシエは今も変えていない。ただし可能性に関しては、抽選会の後で話を聞いたときよりも確率が上がっている。なぜ彼は、そう考えるに至ったのか。(全3回の2回目/#1、#3へ)
日本にとっての決勝はドイツ戦とコスタリカ戦だ
——コスタリカ戦は、初戦のドイツ戦とは選手を代える必要があるのではありませんか。最後のスペイン戦に最高の状態で臨むためにも。
トルシエ 日本は少なくとも勝ち点4が必要だ。そして私が思うに最も重要な2試合はドイツ戦とコスタリカ戦だ。スペイン戦が突破を賭けた試合になると難しい。スペインは日本より経験も豊富で成熟し熟練している。
吉田や長友、酒井、冨安、守田、伊東らがプレーすれば日本は素晴らしいチームだ。しかし3戦目には負傷者や出場停止者がどれぐらいになるかわからない。だからこそ日本がグループリーグを突破するためには最初の2試合が重要だ。日本はドイツに負けてはならないし、コスタリカには勝たねばならない。他に突破の可能性はない。そして最終戦は、確率的には半々だ。日本がドイツに敗れ、コスタリカと引き分けた場合は、スペイン戦が日本にとっての決勝戦となる。
——2006年ドイツ大会のブラジル戦や2014年ブラジル大会のコロンビア戦がそうでした。
トルシエ とはいえスペインと最終戦で当たるのは、初戦で当たるよりはずっといい。初戦のドイツにはプレッシャーがかかり、ストレスも感じている。また初戦は不確定要素が多く、何が起こるかわからない。日本にとっては、最終戦よりも初戦のほうがいい結果を得やすい。だからこそ日本は、ドイツ戦とコスタリカ戦にベストチームで臨むべきだ。もちろんそこで勝ち点6が取れればベストだが、いずれにせよ日本にとっての決勝はドイツ戦とコスタリカ戦だ。
——6月におこなわれた4試合のうち、ブラジル戦以降の3試合を森保監督はW杯のグループリーグ戦に見立ててシミュレーションしました。ショックだったのは最後のチュニジア戦で、遠藤と吉田というふたりの主軸が消耗した姿を見せたことでした。
トルシエ 残念ながら日本の中盤は屈強とは言えない。遠藤と守田のふたりはチームのキープレイヤーだが、彼らの後に続くものがいない。せいぜい柴崎ぐらいで、他に誰か中盤はいるのか? 冨安も中盤でプレーできるのか?