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「日本のアドバンテージは攻撃でふたつのユニットを組めること」トルシエがドイツ戦の可能性を50:50だと語る根拠とは? 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byGetty Images

posted2022/11/22 17:03

「日本のアドバンテージは攻撃でふたつのユニットを組めること」トルシエがドイツ戦の可能性を50:50だと語る根拠とは?<Number Web> photograph by Getty Images

トルシエが高く評価するDF陣、そしてチームを主将として牽引する吉田

——ドイツ戦で勝ち点が取れなければ、日本は非常に厳しいことになるのでしょうか?

トルシエ そうなったら奇跡以上のものが必要だ。私はドイツ戦はフィフティフィフティだと思っている。日本が勝つ可能性も50%ある。

——前回の議論では、可能性はもっと低かったですが。

トルシエ そうだが、ドイツとは初戦で当たる。可能性は五分五分だ。繰り返すが多くの日本人がドイツでプレーしているし、初戦は何が起こるかわからない。たとえ勝てないまでも引き分けは十分に可能だ。

 それに対してスペイン戦は30%対70%だ。スペインはドイツよりもずっと難しい。日本はドイツには馴染んでおり、彼らが何をしてくるかよくわかっている。ヨーロッパスタイルのコレクティブなチームでプレーも読みやすい。個人のサプライズもない。私にすればドイツ戦は、ロシアW杯のベルギー戦と同じ様相、同じエスプリの試合だ。日本があの試合で見せたのは、ベルギーを混乱に陥れるだけの技術的・戦術的なクオリティだった。

——日本が突破をした場合は……。

トルシエ そのときはすべてが可能だ。準々決勝まで進むことも十分にありうる。

日本の弱点は選手層の薄さ

——ラウンド16の相手は再びベルギーになりそうですが。

トルシエ ベルギーにしろどこにしろ、彼らにとって日本と戦うことのほうが問題だ。グループリーグを突破した日本を阻むものは何もない。心理的にも殻を突き破ったのだから、すべてが可能で誰も日本を止められない。問題があるとすればけが人だ。日本の最大の弱点は、ベンチに控える選手の層の薄さだ。

 とりわけ守備陣は希薄だ。酒井、吉田、冨安、長友がプレーする日本は高いレベルにある。遠藤と守田を加えた布陣がベースだ。GKは権田。これがチームの骨格で、この骨格を維持できているときの日本は大きな快挙を成し遂げられる。そして日本のアドバンテージは、攻撃でふたつのユニットを組めることだ。伊東、久保、前田、三笘、浅野、堂安、鎌田……。ひとつのユニットで試合をスタートし、もうひとつのユニットで試合を終える。それこそが日本の力だ。

 日本の力は問題を抱える守備陣ではない。そして疲労や負傷さえなければ、日本はドイツにも勝てるしベルギーのような強豪も倒すことができる。だがそのためには、守備陣に穴が開かないことが大前提だ。

——よくわかりました。とても興味深い意見だと思います。

<#3に続く>

#3に続く
「決勝はブラジルとスペイン」トルシエのカタールW杯展望と要注目国「サプライズを与えるのはデンマーク、セネガル、モロッコ」

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