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「本当に大丈夫なのか?」宇佐美貴史は安堵、昌子源は涙…ガンバ大阪が“弱者のサッカー”で手にしたJ1残留のドラマをカメラマンが激写
text by
原壮史Masashi Hara
photograph byMasashi Hara
posted2022/11/07 17:03
11月5日の鹿島戦後、安堵の表情を浮かべるガンバ大阪の宇佐美貴史。アキレス腱断裂からの復帰後、チームは2勝2分とJ1残留の原動力となった
大きかった宇佐美貴史のカムバック
今季ノーゴールに終わったが、長期離脱していた宇佐美の復帰(10月1日の柏戦から)が大きな助けになった。松田監督が「ボールを引き出したり収めたり、攻撃を活性化するところに寄与してくれるので、落ち着いた試合を進めることができるようになる。相手がちょっと構えるところができ、それを利用して戦える」と語ったように、個人のクオリティだけでなく、チーム全体に「自分たちはただ耐えるだけではない」という精神的な余裕をもたらした。苦しい時間でも、あるいは、もし自分が失敗したとしても「彼がいれば何とかしてくれる」と思える存在。キャプテンマークを巻く背番号39は数字以上の貢献を果たしていた。
昌子は10月29日の磐田戦を前にこう語っている。
「思う存分彼にしがみついていいと思う。彼はガンバのエースを背負ってきた。頼っていい」
3月6日にアキレス腱断裂という大怪我を負い、今季絶望かと思われたが、エースは最後に帰ってきた。
宇佐美は、残留が決まると歓喜よりも安堵が上回った表情を見せた。もし自身の離脱が無ければ片野坂監督のガンバには違う未来があったかもしれないが、勝負の世界に「たられば」はない。「最低限のノルマを達成できた。だけど、爆発的な喜びとか、よく頑張った、という気持ちにはなっていない」と語る30歳は、「安心していると同時に、来年はもっと上で、レベルの高い重圧を感じながらサッカーがしたい」と早くも先を見据えていた。
終わりよければ全てよし、というわけにはいかない。「強いガンバを取り戻す」はずだったシーズンで、プライドをかなぐり捨て、弱者であることを受け入れてなんとか残留を勝ち取った。来季こそ、ゴールでサポーターに歓喜を届ける“オオサカスタイル”を貫けるか。
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