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「本当に大丈夫なのか?」宇佐美貴史は安堵、昌子源は涙…ガンバ大阪が“弱者のサッカー”で手にしたJ1残留のドラマをカメラマンが激写
posted2022/11/07 17:03
text by
原壮史Masashi Hara
photograph by
Masashi Hara
本当にそれで大丈夫なのだろうか?
東口順昭がゆっくりとボールを処理する様子を見て、私は思わずカメラを構えるのをやめ、ポケットからスマートフォンを取り出した。
2022年のJ1最終節、鹿島アントラーズ対ガンバ大阪は、0-0のまま進行していた。試合時間はまだ20分近く残されている。画面に表示された速報のページは、残留を争う京都サンガはジュビロ磐田とスコアレスで、清水エスパルスはコンサドーレ札幌と点の奪い合いを繰り広げていることを教えてくれた。それぞれの試合は、どんな結末を迎えるのか全く予想できない状況だった。
勝ち点1を死守するために「時間稼ぎ」も辞さず
勝ち点36のガンバ、35でプレーオフ出場圏の京都サンガ、33で自動降格圏の清水エスパルス、という状況で迎えた最終節。ガンバは勝ち点1を獲得すれば、ひとまず自動降格を回避することができる。
しかし、もし敗れれば、京都が引き分け以上かつ清水が勝利という結果になった場合、来季はJ2で戦うことになる。
立ち上がりから、ガンバのサッカーはシンプルだった。システムは4-4-2。攻撃は食野亮太郎とファン・アラーノの両サイドハーフがボールを運び、そこに宇佐美貴史とサイドバックが必要最低限だけ絡んでペナルティエリア内のパトリックに向けてボールを入れる、というリスクをとらないものだった。
食野とアラーノは守備でも奔走し、全体がコンパクトな陣形を維持し続けた。広範囲に動き回って攻撃のスイッチを入れようとする鈴木優磨に対しては、どっしりと構えてその後の展開に備える場面と、昌子源が最終ラインからついて行き激しくチェックする場面とを使い分けながら柔軟に対応。両チームともクロスが主体となったが、互いにディフェンス陣が弾き返し続け、前半はどちらにもゴールの気配がなかった。
後半になると鹿島は前線の立ち位置を整理し、効果的にボールを動かすようになる。鈴木や途中出場の荒木遼太郎がゴールを脅かす場面が出てきた。そして63分、献身的に走り続けたアラーノが足を痛めてピッチを去ると、試合は一方的な鹿島ペースに。冒頭の東口のプレーは、そんなタイミングで見られたものだ。
もちろんこれは、ボールが持てなくなり攻撃を受け続けることになってしまったチームを落ち着かせるものでもあっただろう。しかし、押され続けているガンバ全体が、勝ち点3ではなく勝ち点1を死守することに舵を切ったことを強く感じさせるものでもあった。その後、ようやく自陣でボールを持てたウェリントン・シウバが無理をせずに下げたり、高い位置まで来てもコーナーフラッグ付近でボールをキープしたりと、ガンバが勝ち点1を目指していることがわかりやすく伝わってくる場面が増えていった。