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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「大迫と原口がいない…」中村憲剛はW杯メンバー26人をどう見たのか? 負傷者続出の最終ラインに懸念も「もし冨安まで欠くとなると…」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2022/11/04 17:25
プレミア首位を走るアーセナルで好パフォーマンスを披露していた冨安健洋だったが、3日のELチューリヒ戦で負傷交代。W杯に向けて状態が心配される
大迫も前線からのプレスは得意ですが、プレスのスピードや迫力では2人にやや見劣りします。前線からのスピードを生かしたプレスと、二度追いやプレスバックなどの連続性は、今回のFWの選考の大きなポイントのひとつになったと感じます。
ワントップに浅野か前田をスタメンで起用し、前線からのプレスのスイッチャーとショートカウンターの急先鋒として得点を狙い、途中から上田を入れて肉弾戦に持ち込む。システム変更、選手交代など様々なアプローチでゴールを狙っていく、というイメージが浮かんできます。
GKの人選にも、少し驚かされました。過去のW杯のように3人の役割と年齢バランスを考えて選考されると予想していましたが、チーム全体に目配りのできるベテランとして川島永嗣、最終予選でレギュラーを張り続けた権田修一、9月の2試合で目ざましい活躍を見せたシュミット・ダニエルが名を連ねました。いずれも30歳以上の選手で、20代の選手は選ばれていません。
9月の2試合でのシュミットの好パフォーマンスを受けて、森保監督はシュミットと権田のどちらを起用するのかを、ギリギリまで見極めるのではないでしょうか。個人的には9月のインパクトを評価して、シュミットが起用されるのではと予想します。
東京五輪世代の躍進には“1年延期”の影響も?
チーム全体を見てみると、4年以上に及ぶ強化で大事にしてきたものが色濃く残っているところがありつつ、ここ1、2年を通じて台頭してきた選手たちが名を連ねている構成になりました。
GKとDFラインで主軸を担う選手たちは、チーム結成当初からほぼ変わっていません。長友佑都、吉田麻也、酒井宏樹らのW杯経験者が名を連ね、冨安健洋もチームの立ち上げから起用されてきました。
一方で、中盤から前線にかけてはW杯初出場の選手が非常に多くなりました。前回大会経験者は、柴崎岳と遠藤航だけです。
こうして選考を読み解いていくと、東京五輪が20年から21年へ後ろ倒しになった影響はことのほか大きいと感じます。たとえば、三笘薫は20年がプロ1年目でしたから、予定どおりに五輪が開催されていたら、招集されるに足る結果を残せなかったかもしれません。しかし、1年遅れたことで三笘らの五輪世代はより多くの出場機会をつかんで成長し、五輪という舞台で国際経験を積むことができました。