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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「大迫と原口がいない…」中村憲剛はW杯メンバー26人をどう見たのか? 負傷者続出の最終ラインに懸念も「もし冨安まで欠くとなると…」
posted2022/11/04 17:25
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph by
Getty Images
W杯のメンバー発表には、いつだって驚きがある。
森保一監督が発表した26人も、様々な議論を呼んでいる。
元日本代表で2010年の南アフリカW杯に出場した中村憲剛氏も、驚きとともに受け止めている。あの選手が呼ばれ、あの選手が呼ばれなかった理由を推察してもらい、W杯でどのような戦いが見込めるのかも語ってもらった。さらに、緊急事態が発生したDF陣にも触れる。(全2回の1回目/後編へ)
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「大迫勇也と原口元気が…」中村憲剛も驚いた人選
26人が出揃ったメンバー発表を聞いての率直な感想は、「大迫勇也、原口元気がいない」でした。これまでの森保一監督の選考の傾向から考えると、この決断には驚かされた一方で、森保監督の「覚悟」を感じた瞬間でもありました。
チーム結成時から長きにわたり前線の核として日本を牽引してきた大迫は、今年に入ってからケガが重なり、2月から代表チームを離れていました。そういう意味では、選出されなかったのは致し方ないと言えます。
代表チームから離れている時間が長かったとはいえ、森保監督は大迫という選手をよく理解しています。彼を招集できない間に他のFW陣が台頭しなければ、怪我が癒えてコンディションがかなり戻ってきたこのタイミングで招集するのでは、と個人的には思っていました。しかしながら、メンバーリストに彼の名前はありませんでした。彼が不在の間に起こったチームの変化を踏まえ、選考の最終局面で大迫が必要なのかどうかをさまざまな側面で精査して、森保監督は彼なしでの戦いを決めたのでしょう。
ドイツ、コスタリカ、スペインというグループステージの対戦相手を分析すると、自分たちがボールを握る時間はアジア予選より短くなると想定されます。大迫のポストプレーを中心としたアジア予選の形ではなく、スピードに特徴のある浅野拓磨と前田大然をメインに使う戦い方を選択したのではないでしょうか。もうひとりのFWの上田綺世も、裏へ抜ける速さに加えて迫力と力強さがあります。
今回の決断の裏づけとなったのは、9月のアメリカ戦とエクアドル戦でしょう。あの2試合で本大会での戦い方に手ごたえをつかんだからこそ、大迫抜きでの戦いへ踏み切る決断をしたのだと思います。