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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「大迫と原口がいない…」中村憲剛はW杯メンバー26人をどう見たのか? 負傷者続出の最終ラインに懸念も「もし冨安まで欠くとなると…」
text by
中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka
photograph byGetty Images
posted2022/11/04 17:25
プレミア首位を走るアーセナルで好パフォーマンスを披露していた冨安健洋だったが、3日のELチューリヒ戦で負傷交代。W杯に向けて状態が心配される
苦楽をともにした選手を外す“痛み”
原口はプレータイムこそ長くないものの、前回大会の経験者として絶えず招集され、チームの雰囲気を形作る役割を担ってきたと理解していました。また、ドイツでキャリアも重ねるなかでサイドハーフだけでなく、ハードワークもできるインサイドハーフとしての資質も備わり、最終予選でも流れを変える役割やクローザーとして起用されてきました。
その起用法からは森保監督の原口への信頼を読み取ることができたので、このタイミングでの選外は率直に言って驚かされました。大迫と同様に彼についても、W杯での戦いをあらゆる角度からシミュレーションし、別の選手で臨むことを選択したのでしょう。
チーム結成から4年以上にわたって苦楽をともにし、チームを支え続けてきた選手たちをメンバーから外す決断をする。胸が痛まないわけがありません。連れて行けるのならば連れて行きたい。それも本心でしょう。
誰を入れるかの決断は、もちろん大事です。それ以上に大変なのは、外す決断でしょう。森保監督は大迫や原口と多くの時間を過ごしてきたわけで、彼らのW杯への思いも分かっている。僕らの想像を絶する決断だったと思います。
それでも、先に進まなければなりません。メンバー発表の記者会見で話していたように、「経験のない選手のW杯で成功したいという野心に期待した」ということなのでしょう。
所属クラブで好調な選手では、古橋亨梧の名前もありませんでした。セルティックでは鮮烈なインパクトを残していますが、日本代表の一員としてはなかなか結果を出し切れなかった印象です。
古橋は周りの選手と有機的に絡みながら、特徴とする一瞬の抜け出しやポジショニングの秀逸さで点を取るタイプです。つまりは周囲との共通理解が欠かせないのですが、そのあたりを詰め切れないままメンバー発表のタイミングを迎えたのかもしれません。
浅野拓磨、前田大然が選ばれた理由とは
では、浅野と前田が選ばれたのはなぜか。
僕が着目するのは彼らの守備面です。
浅野は3月に行なわれたアウェイのオーストラリア戦で、守備のスイッチャーとして機能していました。前田は9月のアメリカ戦でド迫力のプレスと二度追い、プレスバックを強烈にアピールしました。
DFラインから丁寧にボールをつないでくるドイツやスペインから、浅野と前田は時間を削る、選択肢を削る守備ができる。それについては日本代表のコンセプトのなかで、彼らが古橋より上回っていた部分かもしれません。