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「15失点炎上ピッチャー」も「エラーしがちな一軍ギリギリ野手」も高津臣吾監督なら大丈夫…“やっぱり”ヤクルトでブレイクした3人の若手 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph bySankei Shimbun

posted2022/11/04 11:04

「15失点炎上ピッチャー」も「エラーしがちな一軍ギリギリ野手」も高津臣吾監督なら大丈夫…“やっぱり”ヤクルトでブレイクした3人の若手<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

日本シリーズ第7戦。2年連続の日本一を逃し、悔し涙でスタンドに手を振る高津臣吾監督(53歳)

 日本シリーズでは第1戦、第2戦、第4戦、第6戦と登板し、合計4回3分の1を投げ無失点。危ない場面もあったが、自分の仕事をしっかり果たした。

 昨季、ドラフト1位で入団した木澤だったが、1年目はファームで先発として苦戦した。去年10月16日のフェニックスリーグ、阪神戦では5回途中までに17安打15失点で火だるまとなった。これでは2022年も厳しいのか……と思っていたが、木澤はキャンプで評価を一変させる。

「木澤に関しては、キャンプの時に古田(敦也)さんが臨時コーチに来てくれて、『木澤、いいよ。あれだけ球に力があるんだから、相手の右左に関係なく、どんどんシュートで押していったら抑えられるよ』という意見をもらったんです。それに、投手コーチの伊藤智仁、石井弘寿とも話をすると、たしかに球の威力は一軍で通じるという話が上がってきたわけです」

 そうした意見を受け、高津監督自身も木澤の球質を吟味すると、シュートというよりも威力のある「ツーシーム」を武器に、かわすのではなく、どんどん強い球を投げていけば、一軍のブルペンで持ち味を発揮できそうなメドが立ってきた。

「木澤自身がツーシームをモノに出来たことが成長の鍵になったと思うし、チームの戦力的にもメチャクチャ大きかったです。試合終盤の難しい局面で2イニングを任せてもグイグイ投げてくれる。体力もあるので、僕自身が木澤に甘えてしまった部分もありました」

 レギュラーシーズン、木澤はチームトップタイとなる9勝をマークする。

「木澤が抑えると、打線が点を取るシーンが多かった。シーズン最後の方は、『今日は木澤が出たから点が入るんじゃないの?』と選手たちが冗談を言うようになりましたからね。で、実際に入っちゃう(笑)。競ったゲームで相手に勝ち越しを許さないこと、これは優勝するためには大切なことですが、彼はその役割を果たしてくれましたし、僕自身も『なにかあったら木澤』みたいな感じになってしまったので、オフにはしっかりケアをしたいなと思ってます」

【3】「ほぼ、長岡のミス」…でも使いながら育てる

 最後に野手に目を転じると、高卒3年目でレギュラーを獲得したショートの長岡秀樹(21歳)が育成の「顔」になった。

【次ページ】 【3】「ほぼ、長岡のミス」…でも使いながら育てる

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