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「15失点炎上ピッチャー」も「エラーしがちな一軍ギリギリ野手」も高津臣吾監督なら大丈夫…“やっぱり”ヤクルトでブレイクした3人の若手
posted2022/11/04 11:04
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Sankei Shimbun
日本シリーズで敗れたとはいえ、高津臣吾監督の手腕は高く評価されてしかるべきだろう。
セ・リーグ連覇はもちろんのこと、若手選手を起用しながら結果を残したのだから。監督は、一軍監督として3年目を迎えるにあたり、こういう方針を打ち出していた。
「一軍は勝つことに集中すればいいんだと思う。でも、自分としては“育てながら”勝ちにいきたいんですよ」
【1】内山壮真は「人間としてきっちりしています」
その代表格ともいえるのが、星稜高校出身、高卒2年目の捕手、内山壮真(20歳)だろう。
内山は日本シリーズ第2戦で9回の土壇場で、代打で同点となる3ランを放ち、負け試合を引き分けに持ち込んだ。高津監督はルーキーシーズンから内山を高く評価していた。
「内山は、すごくいい。技術的なこと以前に、人間としてきっちりしてます。謙虚だし、話し方も論理的。すごく伸びると思うし、積極的に起用していきたいと思いますね」
2022年のシーズン開幕を前に、正捕手の中村悠平がコンディション不良で戦列を離れることになり、内山がマスクをかぶる機会が増えた。内山は石川、サイスニードといったベテランとバッテリーを組み、学習を重ねていく。
「やっぱり、捕手は経験を積んでなんぼですからね。中村がいないのはチームとしては痛かったけれど、内山にとっては大きな成長の機会になったと思います。石川あたりからは、いろいろなことを教わったはずですから、それを将来に生かしてほしい。打撃面では、一軍でもスイングが小さくまとまることなく、持ち味である思い切りのいいスイングが出来てました」
今季、内山は印象的なホームランを打っている。
5月24日の交流戦初戦、北海道日本ハム戦では8回裏に代打で登場し、同点弾。また、レギュラーシーズン最終戦でも本塁打を放ち、こうした働きが日本シリーズでのチャンスへとつながっていった。
来季は嶋基宏一軍バッテリーコーチの下で、捕手としてさらなる成長が期待される。
【2】「15失点大炎上ピッチャー」も急成長
投手陣では、慶応大学を卒業して2年目の木澤尚文(24歳)の活躍が目立った。