8度目の挑戦で2桁勝利の戸郷翔征。桑田コーチの助言は「フワッと投げる」。

　壁を超えたら見たことのない景色が広がっていた。2年続けて9勝止まり。今年も2度足踏みした。2桁勝利を懸けた戸郷翔征、3年越しの挑戦は8度に及んでいた。

　そして8月10日のドラゴンズ戦で、戸郷はついに10勝目をつかみ取った。壁を超えた戸郷は勝ち星を12まで伸ばし、最多奪三振のタイトルを手にした。さらに20試合、80％という、いずれもリーグトップとなるクオリティスタート（QS）の数字まで残せたのは、戸郷が“脱力”のコツを会得したからだった。

「試合終盤までいい力感で投げられるようになりました。これまでは最初から全力で行かなきゃダメだと思っていたのが、ここはフォアボールでもいい、ここは1点やってもいいと状況に応じたピッチングを意識したら、幅が広がったと思います」