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豚の頭が飛んだフィーゴへの愛憎…“クラシコの異常な喧騒”はもう戻らないのか? 倉敷アナ「かつての物語的な面白みが」
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byTakuya Sugiyama
posted2022/10/16 17:03
2000年夏にバルセロナから宿敵レアル・マドリーに電撃移籍したルイス・フィーゴ。当時史上最高額の移籍とあって“裏切り者”のレッテルを貼られた
世界中から観光客が押し寄せ、チケット代は高騰。ソシオ(クラブ会員)の中には、チケットを売って現金に換える者も少なくなくなった。さらにフットボールのグローバル化によって、良くも悪くも人々の民族や国境に対する心理的なハードルが下がった影響もあるはずだ。
倉敷さんは少し寂しそうに言った。
「技術面や戦術面では今のフットボールのほうが上なんでしょうけど、クラシコからかつての物語的な面白みがなくなってしまった感じがします」
今年もクラシコが近づいてきたが、おそらくピッチに殺伐としたムードはない。そこにあるのは、スマートで上質なエンターテインメントだ。
もちろん、それだけでも十分に楽しめるだろう。ただ、過剰なまでに品行方正さが求められるこの時代を生きていると、豚の生首が飛んだ、あの異常なクラシコの喧噪が、ひりひりとした空気感が、時折無性に恋しくなってしまう。きっとそれは、イケない感情なのかもしれないけれど。
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